【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

7　遊 ページ7

年長になって、Aは幼稚園を満喫していた。

この前幼稚園で遊んでいるところを見たのだが、女の子たちに囲まれていた。

…あれが俺だったらなぁ。うらやましいぜ。

そんなことを考えている暇ないよな。



「仕事…がんばらねえとな。」



新しく入った会社。

不慣れだけど、支えてくれる家族がいる。

帰ってくると、Aはいつも寝ているし、起きるときはまだ寝ている。

しばらく話していない。

彼女はいつも俺より起きていて、俺より早起きだ。

いくらAが手のかからない子だとしても、体がもたないだろう。

…休み、とるか。



　






　




「…父さん、今日お仕事は…？」


「今日は休みだ！一緒に遊ぼうぜ、A。」



そういって笑うと、Aは目を輝かせた。



「じゃあ、バレーしよ！！母さんも、一緒に！」






　



「あのね、父さん、俺ね、あのね、この前ドッチボールして、１０人もね、当てたんだよ！」


「そりゃすげえな！」


「でね、先生がね、『A君は一等賞だね。』って言ってね、俺だけにメダル作ってくれたんだ！」


「良かったな。」



必死に、興奮しながら俺に伝えてくれる。

そんなところを想像している俺と、にこにこと日陰で見守る彼女がいた。



「ちゃんと、母さんの手伝いしているか？」


「うん！皿洗いも、割らないようにしている！」


「えらいな、A。」


「へへっ！」

　

Aの笑顔はどんどん彼女に似てきて、かわいい。

だが、男の子っぽさも出てきてかっこいい。

相変わらず親バカだ、俺は。



「父さん、また母さんと俺と一緒に遊べる？」


「Aがいい子にしていたらな。」


「俺、母さんの手伝いちゃんとするよ！守るよ！」


「頼んだぞ、A。男同士の約束だ。」


「うん！！」



Aの笑顔は太陽よりまぶしかった。

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