【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

48　鳥 ページ48

「今日はありがとうございました！」


「いいっていいって！俺もいい休みだったし！」


「おい日向、そろそろ帰るぞ」


「おう、じゃあ！」



日向さんは、折角の一日休みを俺達のために使ってくれた。

そのまま影山さんとケンカをしながら帰って行った。



「翔陽、もっとすごくなってたね」


「でも、引退前の選手とは思えねえよなぁ」


「……影山さんも凄かった」


「うん、あれが現役プロ……俺達、そんな人と試合しちゃったよ」



これは自慢できるけど、内緒にした方がいいのかもしれないな。



「じゃ、明日もバレーするし。俺の実家に来なよ」


「おー、すまんな及川くん」


「おばあちゃんとおじいちゃんに会える！」



晴翔君の祖父母の家に俺達は泊めてもらった。

沢山男だけが来て大丈夫かなって思ったけど、何とかなったみたいだ。

父さんは、おじさんと岩泉さんと一緒にお酒を飲んでいる。

研磨さんは部屋に入っていったらしい。多分ゲームをしている。



「先、風呂入って来るね」


「おー！A、一緒に風呂に入るか？」


「！」



体が、ぞわりと鳥肌が一気に立った。

今部屋は寒くないはずなのに、息苦しくないはずなのに、なんで。



「バカ、もうA君はそんな年じゃねえだろ！！あと狭いから！」


「酔っている時に風呂に入るのはいけないって」


「だよなー。……A？顔色悪いぞ？」



父さんに言われて、俺ははっとした。

作り笑顔を作って、自分の腕の中にあった寝間着をぎゅっと握りしめる。



「なんでもない！今日は疲れた。早く入って寝るわ」


「おー」



一人になると、次第にぞわぞわは収まってくる。

ホント、なんなんだろう。

この感情は、まだ知らなくていい気がする。

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