【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

40　喜 ページ40

きちんと勉強したことはやった。

試験も簡単に解けて、自己採点も大丈夫のはずだ。なにかやらかしていない限り。

合格発表の時、東京の寒く乾いた風を受けて、晴翔君と共に音駒高校に向かう。

お互い何も話さずに電車に乗って、緊張しているのが分かった。

着いてみると、すでに発表されているようで落胆している人、喜んで涙を流している人がいる。



「……いくぞ。」


「うん。」



人の波をかき分けて発表されているボードに向かう。



「１１１０…１１１０…あ、俺あった！」



少し離れたところで、晴翔君がよっしゃー！と喜んでいる。

俺は、確か１２２１だった気がする。

１２１８、１２１９…と、見ていくと、下二つに１２２１と書いてあった。



「あ、あった……！」


「おー！受かったな！」


「うん！と、とりあえずここから出よう！」



ボロボロになりながらもでて、一安心した。



「すぐに、父さんに連絡しようぜ！」


「うん！」


「晴翔ー、Aくーん！」



名前を呼ばれた方を見ると、晴翔君のお父さん、及川さんが眼鏡をかけて帽子をかぶっているという不審者な格好でいた。



「父ちゃん！」


「合格した感じだね〜二人ともおめでとう！」


「ありがとうございます！」


「よお、A！受かったんだな！」



後ろからひょっこりきたのは、暖かそうなダウンを着た父さんだった。

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