【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

4　立 ページ4

Aは1歳になった。
　

なにかと喋るようになったが、夜泣きもすることなく、わがまま言うこともない。


本当に手のかからない子だ。



「んと！」


「おう、父さんだぞ〜。」


「かっ！」


「母さんですよ〜。」



顔つきはだんだん彼女に似てきた。きっとイケメンになるんだろうな。


そんなことを思っていると彼女はこういった。



「だんだんあなたに似てきたわね。きっとイケメンになるんだろうなぁ…。」


「おいおい、俺がイケメン！？」


「えぇ、貴方はイケメンよ。ねー。」


「…それ言うんだったら、お前も美人だろ。」


「あら、フフフ。」



照れ臭そうに笑い彼女と、顔を真っ赤にする俺に挟まれたAは、終始ハテナ顔だった。






　









　







「おっ、おお…！」


「A、頑張れ！」



首が座るようになり、はいはいができるようになったA。


今は、つかまり立ちをしようとしていた。


俺を彼女は応援し、Aは一生懸命机に手をかけ立とうとしている。


フラフラとしながら立ち上がっていくのを、俺達は見ていくだけだ。


そして、両手を机にかけて、立ち上がったのだ。



「すげえ！すげえぞA！」


「バンザーイ！ね！」


「たー！」


「「あっ。」」



彼女がバンザイと言ったことにより、Aはバンザイする。


もちろん両手が離れるから、バランスを崩すはずだ。


だが。



「…立って、る…？」


「あたー！たー！」


「立っている…わね。」



Aはただぶんぶんとうれしそうにバンザイをしている。


しっかりと立ち、嬉しそうにしていた。


つかまり立ちと何もなしで立つことを、一瞬で出来るようになってしまったのだ。

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