【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

23　吐 ページ23

これは、俺の誤解だったからよかった。

でも、父さんに久しぶりに撫でられて、暖かかったな…。
　


「…父さん、か。」



俺にとって、父さんは何なんだろう。

家族、気の許しあえるやつ、バレー馬鹿、愛せる者。

その、愛ってやつと、母さんの愛は違うの？



「お、俺、何考えて。」



グアッと、何かがこみ上げてきた。



「うっぐ…うおえ…！」



気持ち悪い、俺、気持ち悪い……！



ごめん、父さん、父さん、父さん……！



息を殺して、吐き続けた。



この愛が、ばれないように必死に。






　





「……なぁ、またやつれてないか？」


「…うぇ？そう、かなぁ。」



しばらくたって、誤解は解けたことを及川君に伝えたけど、まだ俺自身の悩みは解決していなかった。



「痩せたって！っていうか、大会近いんだから勘弁してくれよ。俺のセットアップで、お前が打つ！完璧だろ？」


「うん、そうだね…。」


　
俺達は、バレー部のレギュラーになっていた。

全国に行った音駒の主将、黒尾鉄朗の息子。

世界でも活躍している、及川徹の息子。

注目されるのも、当然って訳だ。

だけど、俺達は実力で注目されたい。

でも俺は、そこまで注目されたい訳じゃない…。



「まぁまぁ、俺はちょっと目立ちたがり屋だから？お前が大会でインタビューされたら助けてやんよ！」


「あはは、ありがとう。」


「でも、これだけは言っておく。…無理はするな。」


「…うん。」



頼もしい親友をもったものだ。

24　応→←22　電

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す