【BL】ねぇ、父さん。【黒 尾 鉄 朗】

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2回目の入学式。

彼女はいなくても、Aがいる。

　
　
「父さん、どう？」


「似合ってるぞ、A！」



男二人の生活は案外悪くないものだ。

俺がいない間に、Aは家事を覚えたらしく、自分の手が届くところであれば何でもしてくれる。

危なっかしい所はあるが、出来ない所は出来ないといえる子だ。



「よっしゃ行くぞ。」


「うん。母さん行ってきます！」



彼女の仏壇に手を合わせて、そして二人で入学式に向かった。

緊張している様子のAだったけど、すぐに近くの子と仲良くなれたみたいで、笑顔を浮かべていた。

俺はその姿を写真に収める。

なぁ、見ているか。少しずつだけど、Aは笑顔を取り戻してきたよ。




　




　




「父さん、授業参観なんだけど…。」


「悪い、見に行けない…。」


「だよね、分かってた。不参加にちゃんと〇つけといたよ。」



洗濯物を畳みながらそういうAに、俺は申し訳なく思ってしまった。

俺は、こいつに母や父のようなことをできてやってない。

普通母さんって、見守ったりこういうのにちゃんと参加するんじゃないのか？

父さんって休みの時は遊んでやるもんじゃないのか？

悶々と考えても仕方ない。やるしかないのだ。



「よっし！じゃあ今度の日曜日に、父さんの仲間を連れてきて遊んでやろう！」


「！ほんと！？」



Aの目が輝いた。

　

「もちろん、バレーのな。」


「バレー！する！！」


「よしよし！連絡しとくな。」


「うん、今のクラスの人たち、バレーとか全然しないから…嬉しいなぁ…！！」



バレーバカは、俺に似たもんだ。

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