大将の願い。 ページ10
合宿が終わり、私はまた家にいる日が多くなった。
夏休みが終わるとき、鉄朗が「烏野が春高一次予選突破だって。」と教えてくれた。
これで、ゴミ捨て場の決戦に一歩近づいたな。
さて、もう夏休みが終わって、鉄朗はいやいや学校に行った。
土日は鉄朗の学校まで行って見に行ったりした。
…今日は平日か…体も最近起き上がることも難しくなってきたが、今日は調子が良かった。
どこかに寄ろうかと思った時、ふとした人物が頭に浮かんだ。
…平日だし、いるか分からないが行ってみる価値はあるな。
「あれ…ごんのすけ？」
「なぁ。」
案の定部屋にいたか。大将。
少し苦笑いで私のことを見る大将は、顔つきも大人っぽくなり、鉄朗とは違う色っぽさが出ていた。
「とりあえず入りなよ。」
中に入ると、相変わらずきれいな部屋があった。
さほど変わらない、整った部屋。
「…今日は、学校休みなんだ。午後から部活なんだけどね。」
そうなのか。机の上には、勉強道具があった。
こいつも受験生。鉄朗も最近夜中まで勉強をよくやっている。
「ミカちゃんにもフラれちゃったし、俺は独り身だ…。」
彼女のミカという人にフラれたらしく、机にある写真はパタリと伏せられている。
「ごんのすけ…。俺んちの猫になってよ。」
無理だといつも言っているだろう。
「…今回のさ、春高予選…ネコチャンに勝ったら、考えてくれる？」
鉄朗たちに、勝ったら…か。
ま、考えておこう。それまで動ける体かどうかは知らないけどな。
そうだ、こいつは私の体調の事情を知らないのか。
…いや、知らなくってもいい。そうだ。
私は大将に撫でられている腕からするりと抜け、ドアの方に向かう。
「もう帰んの？…はい。」
ドアを開けてくれる大将。私はドアから抜けようとする。
しかし、一度大将の方に向き、目を合わせ、一つ鳴いて別れを告げた。
「…またね、ごんのすけ。」
あぁ、また。
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中村千尋(プロフ) - 泣きました……うちの猫も最近死んでしまったので余計に泣きました……素晴らしい作品をありがとうございます！！ (2019年8月24日 23時) (
レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 泣けた。 (2017年10月13日 22時) (レス) id: 058a83fe8c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ(プロフ) - 初コメです。完結おめでとうございます。癌になったことろから半分涙目でずっと見ていました。最後の最後で泣いてしまって私は思いました、(私の猫達もいつかは死んでしまう、その時を待ち続けなければならないと)話を読んで猫達と思い出を作ろうと思いました。 (2017年8月9日 20時) (レス) id: e7c0400c79 (このIDを非表示/違反報告)
megane_yukie(プロフ) - 初コメです！完結おめでとうございます！すごく感動してボロ泣きしました…(´；ω；｀) 素晴らしい作品でした、ありがとうございます…！続編の方も無理せず頑張ってください！ (2017年4月1日 6時) (レス) id: 2c3beca2f2 (このIDを非表示/違反報告)
Saki - 初コメです。感動のあまり涙が溢れてしまいました。 (2017年4月1日 1時) (レス) id: 433a87ef7c (このIDを非表示/違反報告)
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