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花火も終わり、すべてが片付け終わった。

夜の浜辺は、LEDライトで明るく照らされとてもきれいだ。

ここ一帯は宿の管理内らしく、足が入るくらいだったら海に入ってもいいらしい。

部屋に戻って風呂に入る者もいれば、ビーチバレーで遊んでいる人もいる。

私は部屋に戻るわけでもなく、遊ぶわけでもなく、ただ海を見ていた。



「海風が涼しい。風邪をひくぞ」



隣に来たのは、若利君だ。

自分の着ていた上着を、私に羽織らせてくれる。



「ありがとう」


「何を考えていたんだ?」


「んー?そうだなぁ、若利君が声をかけてくれなかったら私はここにいなかったんだなって」


「……そうだな」



高校1年生の春のことを思い出した。偶然たまたま隣の席になった若利君。

そうしたら突然体育館裏に呼び出されて、告白されたんだっけ。

そして、マネージャーにならないって断っていたのに結局なっちゃって。



「運命って、凄いね」


「あぁ」



ふふ、と笑うと若利君も微笑んでくれる。



「……ねぇ、私は若利君以外いらないよ」


「!」


「もし、なにかあった時、私は全てを捨ててでも貴方と一緒にいる。

ちょっと重いけど……欲がなかったのに、私にそれを与えたのは貴方だよ」



クス、と笑うと若利君の頬に汗がつう、と通った。



「俺は、その覚悟ができている。お前も、俺に欲を与えた。

だが俺は欲深い。バレーも、お前も大事だ」


「分かってるよ。それでいい」



若利君は私の横髪を耳にかける。

だけど、周りの人が見ているのに気づいて「あ、あの」と止めた。



「皆見ているから……」


「……」


「あっ、ごめんなA」



ほとんどの人が私たちのことを見ていた……。

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ぼくとぉー! - 続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年11月24日 10時) (レス) @page24 id: af1e58422b (このIDを非表示/違反報告)
Asrea(プロフ) - 一から一気読みさせていただきました!更新がんばってください! (2020年8月24日 22時) (レス) id: 3cc24693d9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白かったです!!続き楽しみにしてます!!!!更新頑張って下さい!!!! (2020年5月20日 22時) (レス) id: c50f9639f2 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです!続き楽しみにしています。更新頑張って下さい!!!! (2020年5月2日 17時) (レス) id: c50f9639f2 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 1から一気読みしました。とっても面白かったです(* >ω<)更新頑張ってください("⌒∇⌒") (2020年4月27日 23時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いすだ | 作者ホームページ:欲はない。  
作成日時:2020年4月27日 16時

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