322 ページ35
「ほら若利君、これが、プッチンするやつね」
祝日のショッピングセンター食品売り場は夜でもまだまだ人が多く、カートに食料品を積んだ買い物客でにぎわっている。
滅亡のことなんてもうすっかり忘れた覚君は三個入りのプリンを見つけてご機嫌だった。
「皿に載せて、このツメを折るわけ」
若利君はプリンを手に取り、カップの底を見た。
「空気穴か」
やっと納得したみたいだ。
若利君が考えている間にも、覚君はプリンの支払いを済ませ、そのままスキップでフードコートのソフトクリーム売り場へ向かっていった。
そして、これまで気の向くままに動きま変わっていた覚君が、そこでようやく立ち止まったのだ。
「ずんだ……？巨峰……？」
覚君の足と思考を止めたのは、地域限定フレーバーのずんだ味と、秋限定フレーバーの巨峰味の存在だった。
二つのフレーバーの間で、心が揺れ動いている。
「地方限定とか頼むの観光客みたいでカッコ悪いけど美味しそうだし、
でもたぶん地方限定はこれからもずっと食べられるけど巨峰は今だけで、でもブドウ味ってそんなに好きくないし……」
「覚君、声に全部出てる」
他に並ぶ客がいないのをいいことに、たっぷり時間をかけて悩んでいた覚君。
どちらへの思いも振り切れず、ついに助けを求めてきた。
「二人とも、どっちにする？一個ずつ頼んでさ……ってもう食べてるし！よりによって二人ともバニラ！なんでバニラ？」
「ん？」
覚君が悩んでいる間にも、私と若利君はソフトクリームを買っていた。
バニラ味は無難で美味しいし……と答えようとすると、二パッと覚君は笑う。
「迷うのも味のうち、って言うよね！」
「初めて聞くが」
「だって今、俺が作った格言だもん」
……この頭痛は、アイスの冷たさなのか疲れなのかわからないな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぼくとぉー！ - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年11月24日 10時) (
レス) @page24 id: af1e58422b (このIDを非表示/違反報告)
Asrea(プロフ) - 一から一気読みさせていただきました！更新がんばってください！ (2020年8月24日 22時) (レス) id: 3cc24693d9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 面白かったです!!続き楽しみにしてます!!!!更新頑張って下さい!!!! (2020年5月20日 22時) (レス) id: c50f9639f2 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白かったです！続き楽しみにしています。更新頑張って下さい!!!! (2020年5月2日 17時) (レス) id: c50f9639f2 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 1から一気読みしました。とっても面白かったです(* >ω<)更新頑張ってください("⌒∇⌒") (2020年4月27日 23時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
