いらない。７【牛島若利】

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「二人ともさ、柔いプリント固いプリンどっち好き？」

　

ぽつりぽつりと街灯のともる夜道に、覚君の大きな声が響く。



「……プリン？」


「ほら、プルプルのやつと、ぎゅっとしたやつあるでしょ？」


「そうだね」


「俺、だんぜんプルプルの方ね。あ、俺、小さいころ親にプッチンさせてもらえなくて！

洗い物が増えるからカップから食べろとか言われてさー。

いいじゃんね、皿の一枚くらい減るもんじゃないし」


「プッチン？」



多分、これ話が見えてないな若利君。



「私もプルプルの方が好きだなぁ」


「だよねだよね！プッチン楽しいよね！」


「小さい時はよくやってたかも」



二人で盛り上がっていると、若利君がムッとしたのが見えたので、慌てて話しかける。



「ほら、プリンの底のポッチのとこプッチンするでしょ？

したかったでしょ？若利君、してた？家の人させてくれた？」



指でプッチンの所作をしながら畳みかけてくる覚君をまねて、若利君が人差し指を曲げてみる。



「……」


「あれさ、折れてもうまく穴開かなかったことない？

俺さ……あ、ロボットだ！」



プリンの思い出話もそこそこに覚君は駆けだす。

置き去りにされた若利君はしばし「穴？」と考えていた。

この大きな子供たち……どうしようか。

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