いらない。７【牛島若利】

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「おーっす、お疲れ」



先に到着して準備をしていた英太君が手を振る。

皆待っている間はテストの話で持ち切りだ。



「あれ何？」


「あー土壇場で頑張って勉強して意気消沈な工」



体育館の隅っこの方で真っ白になっている工君。

ま、まぁ、彼も頑張っていたし……。



「補習なんてこの俺にはありえませんから！」


「うるさってか聞こえてたのかよ！」


「あはは、元気でいいね」


「お前なぁ」



英太君が苦笑いをする。

少しの間いなかったせいか懐かしく感じる。

なんだろう、本当に一日一日が長かったし……一年くらいこっちに来てなかった感じがする。

この蒸しっとした暑さがまたいいのだ。



「そろそろ練習を始めるぞ」



部室で着替え終わった若利君が、暑さでダルそうな覚君を連れてくる。



「部室から出てこようとしないから、無理やり連れてきた」


「だってあちーんだもん！ねーAちゃん」


「さ、今日からバリバリ働くぞー！」


「やる気満々じゃないの……」


「案の定ビブスはしわしわだしドリンクの位置もバラバラ！」


「さ、さーせん……」



今は笑い飛ばせるけど。

でも私がいなかった分慣れない業務をさせてしまって申し訳ない気持ちはいっぱいだ。

今度は私の番。

春高までのこり一か月弱。

ここから乗り切らなければならない。

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