いらない。７【牛島若利】

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五色side



先輩たちの様子が、やはりいつもよりおかしい。



「A〜は、いないんだっけか」


「あれ、Aさんってどこにいますっけ」


「バカ、今日は休みだろ」



いるのが当たり前になっているせいで、今日からAさんが休みだってことをみんな忘れてしまっているみたいだ。

練習に支障はないし、この前の合宿と同じように分担を決めているから問題はない。

それよりも、Aさんの存在感がでかいんだな。

練習が終わった後、先輩たちはそそくさと片づけを始める。



「いいなぁ……」


「明日には会えるだろ」



俺の独り言に反応したのは白布さんだった。

なんだかんだ、俺もAさんに会いたがっているんだな……。



「お前、明日会えるからって今日課題やらないとかそういう意味じゃないからな。

明日は分からないところを教えてもらうんだ。

やらないところをやる会じゃないんだぞ」


「は、はい……！」


「賢二郎、お手柔らかに」



白布さんの冷たい目をどうどうと止めてくれたのは川西さんだった。



「俺たちは俺たちで、個別にやろうぜ。なっ工」


「そう言って、俺に教えてもらう算段だろ、太一」


「あら、ばれてら」



そうだ、白布さんはスポ選じゃなんだよな。

相当頭がいいはずだ……！



「よろしくお願いします！」


「ちょ、やるなんて言ってな……」

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