いらない。７【牛島若利】

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白鳥沢学園についてバスから降りたところで、見慣れた車が止めてあるのを見た。


　
「A……！」


「お母さん！」



わざわざ迎えに来てくれたんだ……。

心配、かけちゃったな。



「この度は我々がついていながら娘さんに怪我を負わせてしまい、大変申し訳ございませんでした」


「いいんです！こちらこそ、最後までありがとうございました」



コーチが謝るのを見てお母さんは慌てて手を振った。



「A」



監督がこっちに来て、私の名前を呼ぶ。



「お前は足が治るまで、しばらくは部活はなしだ」


「え！」


「当たり前だろうが！」



多分、ここにお母さんがいなかったらもっと怒鳴っていただろうな。

監督はじっと私のことを見てくる。うーん、言い返せない。



「夏休みは残り2週間。それまでお前は家で待機。分かったな」


「はい……」



へこんでいる私を見て、お母さんは苦笑いをして「車、引き寄せてくるわね」と言った。



「えー！Aちゃんに合宿終わったら宿題見てもらおうと思ったのに」


「お前……まだやってなかったのかよ」



覚君ががびーん！としているが、それをみて英太君がため息をつく。



「確かにまぁ、宿題わかんねーところあるから見てもらおうと思ったんだよな」


「賢二郎がいるじゃん」


「年下に教わるんですか」



やいのやいのと騒いでいると、隼人君が何かひらめいた。



「じゃあ、Aんちにいけばいいじゃん！部活終わりにさ、皆で！」


「え、皆来るの？」


「それいいですね！」



全然うちに来るのは構わないが、さすがに8人も来るとなると大変だ。



「それじゃあ、3年生と1、2年で別れてきてもらおうかな。今日は3年、明日は……って感じで」


「分かりました」


「最終日は、本当にまずい人だけ！私がいなくても、ちゃんと終わらせてね」


「おっけー！」



車に乗って、窓を開けると皆手を振ってくれる。

私も振り返して、その様子を見たお母さんは微笑んでいる。



「本当にいい人たちね」


「……本当に」



私にもったいないくらい。

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