いらない。【牛島若利】

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正門前で待っていると、若利君が来た。



「見てたよ、若利君。」


「そうか。」


「かっこよかった。すごいね、みとれちゃったよ。」



そういうと、若利君は少し目線をそらし、「ありがとう。」と呟いた。



「A。それで、マネージャーになる気は。」


「ない。」


「俺のものになる気は。」


「ない。」


「…そうか。」



いつも通り私は断る。



「では、一緒に帰ってもいいか。」


「え？」


「俺が、お前の家まで送る。」


「いや、いいよ。ちょっと遠いし。」


「問題ない。」



これでばれたら嫌だからな…本当は一緒には帰りたくない。



「…今日だけね。」



私もなんだかんだで折れるのは早い。だけど、マネージャーになるのと、彼女になるのは嫌だ。



「そういえば、バレー部に瀬見君いるんだね。」


「あぁ。知り合いか？」


「入学式の時に、いろいろお世話になったの。」


「…そうなのか。」



間が空いて返事をした若利君。なんかあったのかな、瀬見君と。



「あ、家ここ。」


「そうなのか。」


「ありがとう若利君。あなたのものになる気はないけど、今日のバレーは本当にかっこよかった。
また明日ね。」



そう言って家の中に入った。









「…それは反則だ…。」

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