with you (ページ4)

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yt side

オレは光くんが好きだ。自覚したのはここ２、３年だがずっと好きだったと思う。

デビュー前から薮くんと光くんはオレの憧れで、いつも後ろをついて回って二人を見てた。

同じグループでデビュー出来て、ファンにも裕翔はやぶひか担だ、なんて言われるほど相変わらず二人を見てたし、二人が好きだった。

でも、ある日オレは気が付いた。

今日の光くんなんかきれいだな…笑うと大きな目が柔らかく虹を描いて、口元もむにむにと可愛くて、頬もふわっふわのパンケーキみたいに甘そうだ…

口から出る言葉は舌足らずなのは変わらないが、やっぱり甘くって、聞いているとお腹の辺りがムズムズしてくるから、その言葉を遮って、その瞼に頬に唇に口をつけて食べてみたい衝動にかられた。

今思えば、薮くんと付き合いだした次の日だったのか、もしくは身も心も繋がった次の日だったのだろう。

オレは自分の恋心に気付くと同時に失恋していたんだ。そのことにもすぐに気が付いた。二人をずっと見てきたんだから、そりゃ分かるよね。

別に不満はない。二人を好きなのは変わらなかったし、二人との関係も変わらなかった。
でも、光くんが時々寂しそうな顔をしてるのは見ていられなくて、オレから声をかけた。
二人の関係に気付いていること、光くんの力になりたいこと。

光くんは薮くんとのことをメンバーに言うつもりはないようだった。だからか、光くんは悩みや不満を薮くんにも、周りにも相談してなくて、時々辛そうだった。

だから、そういう時はオレから声をかけて話を聞こうと思った。でも、光くんは元々誰かにあまり頼ったりしないから、片手で余るくらいしか相談に乗ったこともないんだけどね。

珍しく光くんから飲みに行こうと誘われたのが今回のことだった。

個室に仕切られた居酒屋とbarの中間ぐらいの店の一室で、一人で部屋にいるのが辛いんだと、あまり暗くならないようになのか、半笑いで言うのに、お酒の入ったグラスを見つめる瞳は月の出ない夜の海みたいに黒かった。

グラスについた水滴が落ち、テーブルが濡れるのを気にして、こまめに拭く光くんは、やっぱり光くんだなぁと関係ないことを考えて、好きだなと思った。

二人の部屋を出ることはもう決めていたみたいで、しばらくホテルにでも泊まるよ、と言う光くんをうちに誘った。下心なんてなかった。ただ本当に無理して笑う光くんが心配だったんだ。