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薮が部屋を出てから、俺はその場に立ったままこれで良かったのかと今さら考え続けていた。ドアが開いて、大ちゃんがちょっと困ったような顔をして入って来る。


「大ちゃん……」


「薮ちゃんが早くこいって…。」


「…おう。」


「うそ…心配してた。迎えに行ってやってって。」


「…分かってる。」


頷く俺に、大ちゃんがちょっと俯いて頭を掻きながら言う。


「あのさ、昨日俺がひかに言ったこと覚えてる?」


俺は思い出そうと頭を傾げる。


「天才肌とか、考えないで直感で決めればいいじゃん!みたいなやつ。」


あぁ。昨日の会話と崩れたジェンガを思い出す。


「で、でもおれは……」


言いかけたら、大ちゃんが遮った。


「うん…。あれさ、やっぱ無しで。ひか達が今どんな状況なのか分からないけどさ、やっぱさ、ちゃんといっぱい考えたらいいよ。」


大ちゃんの顔を見る。大ちゃんは少し俯いたまま視線だけを少し上げて俺を見る。


「ひかは大変かもしれないけど、やっぱり迷ってもちゃんと考えて欲しいって思うし、…ほらみんな大事だからさ。」


オレは、どんな結果でも変わらないからと大ちゃんが少し上目遣いで笑って言う。


俺はただただ頷く。


「あと、薮くんがしばらく泊めてあげて欲しいって言ってたけど…、どうする?」


少し考える。


「…大丈夫。しばらくホテルにでも泊まる。」


「…分かった。でも寂しくなったら、うち来ても良いからね!」


もう行こっか!と言う大ちゃんはかっこいい。俺は自分のことだけで精一杯だ。きっと、立場が逆でも大ちゃんみたいには出来ない。


「大ちゃん…俺、大ちゃんに言わなきゃならないことがある…。」


そういうと、大ちゃんが照れたように、手を前に出して止めるような仕草をする。


「お礼とかやめろよー、恥ずかしい!」


「いや、ちがくて。大ちゃんがオレンジ派とか、まじどーでもいいから、って言っとこうと思って。」


「おい!」

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作者名:黄色の梅 | 作成日時:2019年11月19日 11時

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