は _ IV ページ4
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「おい、起きろ。白髪君」
中島の目覚めは最悪だった。
昨日に逢った少女、Aに頬を叩かれて目覚めるという。
「もうちょっと、良い起こし方があったんじゃないの」
中島は目を擦り乍ら体をムクリと起こした。
「そーゆー細かい事気にしてたら早死にするよ」
Aは真剣な表情で云うが中島は全く信じていない。
それに嫌気が差したのかムッとした顔でAは呟いた。
「少しは感謝してくれてもいいじゃん」
それは昨日の事に関してか、
若しくは起こした事に関してか、
中島はその呟きが聞こえたのか云い返す。
「感謝は要らないって始めに云ってたじゃん」
Aはカチンときたが、一理あるので何も云わなかった。
「…で、如何するの?」
何も喋らないと埒が明かないと感じた中島は訊く。
「朝飯といこうか」
朝飯、厳密に云うと飯と云う言葉に反応した中島の顔は少し明るくなった。
* * *
「どーぞ。君、茶漬けが食べたいって云ってたから」
ま、一杯だけ奢ってあげる、とAは茶屋で茶漬けを中島に渡した。
「…ありがとう!!」
中島は飴玉と同じように勢い良く食らいつく。
三分後には茶碗は空になっていた。
「やっぱ、君、食べるの早いね」
「お腹空いてたから、あはは」
二人はその後、少しだけ喋って茶屋を出た。
長居しても遣る事がない、とAが云ったからだ。
太陽が頂点に昇るにはまだ早い。
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作者名:遠藤氏 | 作成日時:2020年4月18日 14時