金木君にプロポーズ (ページ4)

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初恋・3 ページ4

その顔は、涙で溢れていて、片手には何かを持っていたけれど、それが何なのか分からなかった。

「本当は、もっと違う所が良かったんだけどね…。その、僕は喰種になっちゃったし、これからもずっと迷惑ばっかり掛けるだろうし、普通に楽しめた事も楽しめなくなっちゃうけど、それでも、どうか」

「僕と結婚してくれませんか？」

結婚してくれませんか？
その言葉と共に差し出された指輪。
それだけで、人はこんなにも嬉しいのか…

涙が溢れてきて、笑いながら泣くという変な感じだけど、悪い気には成らなかった。

答えは勿論。

『っはい、喜んで。こちらこそ、迷惑いっぱい掛けるし、悲しませちゃう事も有るかもしれない。でも、それでも、私にプロポーズしてくれて、ありがとう』

お互いに泣きながら抱き付いて、バッ、という効果音が着きそうな位にハグをして、暫くして離れると、周りからガスマスクを付けた人達がやってきた。

喰種かと思って身構えるが、どうも金木君の仲間らしく、私達の事を祝福してくれた。

「カネキ、結婚…はまだか。えーと、プロポーズ成功おめでとう、だな！」
「ムッシュバンジョイに一足越されてしまったね。僕からも、おめでとう、カネキ君」
「お兄ちゃん！おめでとう！それと、A…お姉ちゃんも！おめでとう！すっごくお似合いだと思うよ！」

ガタイの良い、けれど優しそうなお兄さんにイケメンのお兄さん、小さくてかわいい女の子。

皆、お祝いしてくれた。

『ふ、は、あは、はははは！幸せ過ぎて、ははっはは、あははは、ふっ、ふふ、笑いが止まらないよ！』

私がそういって笑うと、金木君も笑って、お兄さん二人も、女の子も笑って、一晩中笑ってたような気がしたけれど、それは気のせいで、夢のような時間は直ぐに終わった

「あ、そろそろ、寝なくちゃ、お肌に悪いよ？また明日ここで会おう、Aちゃん」
『あー、そっか、これが全部夢じゃなきゃ良いけど！本当に、来てくれる？』
「勿論、僕が嘘をついたこと、有った？」
『有ったよ。大丈夫って言ったとき。それじゃ、バイバイ！明日ね！』