苺の王子から「楽曲提供者になってほしい」と頼まれた件。【stxxx】

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『ねぇお兄ちゃん』

「ん？」

『夢って……なんだと思う？』

「………………は？」



私の質問に、電話越しでお兄ちゃんがぽかんとした。



「は…お前、詩人にでもなるのか？その質問結構痛い人みたいに聞こえるぞ？急になんなんだ」

『作詞してるので一応詩人だけど』



大人組の三人と通話を終えたあと、私は音大にいる兄＿＿＿＿音宮 星羅(せいら)＿＿＿＿た電話をかけた。

ただ訊きたかったことを訊いただけなのに、この馬鹿にするような態度。こんな兄が音楽界の優等生とか言われてたなんて、嘘みたいだ。



「Aがそんな黄昏たような質問するなんて、変なもん食った？」

『違う。ただ今回新しくもらった仕事のテーマが、”夢”だから』

「あぁ、そういうことね」



お兄ちゃんが納得したように言った。



「お前に夢はないの？」

『ないっていうか………どれが夢なのか分からない』

「ふぅん。じゃあお前にはこの仕事は無理だ！夢が分からない奴に夢の曲を作るのは無理だ！今すぐ断ってこい！」

『お兄ちゃんに訊いた私が馬鹿だったかもしれない』



本当に遠慮というものを知らない男だ。まったく。



「ん〜……、じゃあAは、夢って聞いてどんなことを思い浮かべる？」

『………………。』

「テーマが夢ってさ、それって実質テーマは“自由”なんだよ。

だって夢ほど自由なものってないだろ？」



お兄ちゃんの言っていることは分かるようで、分からない気がした。



『…まぁ、とにかく相談乗ってくれてありがとう。もうちょっと的確なアドバイスを期待してたんだけど、これはこれでいいよ』

「教えてもらったくせに生意気な」

『生意気なのはお互いさまでしょーが』



そして数分、雑談をしてから電話を切った。

すると、タイミングよくラインの通知がなった。



『…さとみさんからだ』



なんだろう、と思ってアプリを開き、メッセージを確認する。



『えっ…！』



さとみさんのメッセージには、こう書かれていた。



【Aちゃん！今から一緒に、星を見にいかない？】



ほ、星、ですか…………！？

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