風呂好きのねこ ページ10
鼻歌を歌い出しそうなほど嬉しそうなAは広い風呂を走り回っていた
汚い生活を送っていた時の反動か風呂は好きなようでぷるぷると言いながらシャワー で滝行のように冷水を浴びていた。
シャワーを出すということは覚えたようだがまだどうやって暖かくするのかなど細かいところは覚えられないらしい
少し寒くなってきたこの季節に修行のような冷水を浴びて体は寒さを感じブルブルと震え出してるにも関わらず本人は石鹸をゴシゴシ擦っている
それを流すことは知らず綺麗になったとぷるぷると機嫌よく歩き回るAはついに泡だらけになった床で滑りつるんとひっくり返ってしまった。
シャンプーボトルやシャワーをひっくり返して転けたので風呂場ということもあり大きな音が響く。
一方近くの部屋にいたクロロはその音を聞いてやはりまだ一人で風呂は早かったかと感じながら回収しに向かった
案の定頭を打って素っ裸のまま仰向けで転がってるA
クロロは袖をまくると目を回しているAの上半身を抱き起こしてぺちぺちと頬を叩いた
先程まで機嫌良さそうだったが頭を打ったことで気分が下がったのか通常運転に切り替わってしまっている。
冷水を浴びてひんやりとした体にため息をついて座らせると温水を出すと体にかけて泡を流してやる
どうせろくに髪も洗えてないだろうとシャンプーを泡立てて大人しくされるがままのAを清めていく
湯船に浸かるAをしゃがんで肘を着いて眺めるクロロは窓際に置いていたアヒルを湯船に浮かべてやった
以前シャルがAに送ったものだ。
クロロは濡れた白い髪を掬うとくるくると弄ぶ
冷えていたからだも温もり心地よくなってきたのか目の辺りまで湯につけてぶくぶくと泡を吹き出す
やがて息苦しくなってきたのかついにごぼっと大きな泡を吐いて湯船の中に沈んでいく
全く一人で泡を吐いて沈んでいくなんて聞いたことがない。
クロロはぐったりする彼女を引き上げてやるとため息をついた
息を吐き続けると人は死ぬことさえ分からないのだ。
きっとあのまま野生で暮らしていれば今頃どうなっていたか分かったものじゃない。
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作者名:むよくちゃん | 作成日時:2023年11月22日 19時