他者の犠牲の上に落ちる不幸 ページ5
「おいおいこっちの嬢ちゃんは大人しく捕まったぞ」
「A！」
別に大人しくした訳じゃない。体格差もあるし身のこなしを見る限りやっぱり本当にハンターなんだと思う。
母の焦った顔に引き戻される
「お母さん後ろ！！」
振り返った母の後ろで銃を構える男がいた。咄嗟に叫んだけど間に合わなかった。銃声の後母が膝から崩れ落ちる
「お母さん！！」
どうやら足を撃たれたらしく赤く、さらさらとした液体が地面に流れ出ている。
すぐに男達に腕を拘束されてしまい母は動きが取れなくなる。
目の前が真っ赤に染る。
「……はなして。」
「離しなさいよ！！！」首にナイフを当てられていたことも忘れて振り返って男に平手打ちをしたが、手が痛むだけで全くダメージに繋がらない。
私のせいで、お母さんは捕まってしまった。
弱いせいで、私が、
「こいつ母親のこんな姿見ても怒ってねぇのか？目が黒いままだ。」
「母親の方は目が赤いのにな」
「違うわ！その子だって目は赤くなるの！」
母がそう叫ぶ。すぐに母の考えが理解出来た。クルタ族でなければ私に価値は無い。母の瞳を赤くするために殺されるのがオチだ。けれどクルタ族ならこいつらの言った通り目だけで済むかもしれないから。
「ほーそれじゃあ今殺すには惜しいな」
「おい適当な人間捕まえてこい」
一人の男が指示を聞くとアイスピックを持って近くの家に入っていく。聞こえる悲鳴に引きずる音。
「やめて……」
片手に握られているのは小さな子供。髪の毛を掴んでここまで連れてきた。
なに、する気なの
泣きじゃくって怯える子供の手に「うるさい！」とアイスピックを突き刺した。聞いた事のない程の絶叫が耳をつんざく
それを聞き付けた村人もすぐに駆けつけるが「動いたら殺す」と銃器を持つ男たちの言葉で動けなくなる
母の瞳が一層赤く染る
瞳をより赤く美しくするために男達は残虐な方法を選んだ。
「ふざけないで」
私の手を後ろ手で拘束する男の足を蹴り払おうとすれば「おっとそんな事するなら母親を今すぐ殺したっていいんだぜ？」とニヤニヤ笑う
ありえない、人間じゃない、お金のために人を陥れて傷つけて、
母は死なせたくない、でもあの子も死なせたくない、例え男の拘束から抜け出したとしても男四人に叶うはずもない
「うぐ…おね、ちゃ、たすけて、」
涙を流し悲痛な色を浮かべる目と視線が合う
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作者名：むよくちゃん | 作成日時：2023年11月22日 19時
