お人形がまだ人間だった時 ページ3
ある小さな小さな村で一人の少女はたった1人の家族である母と暮らしていた。
村自体乾燥した地域にあり作物も育ちにくく都心からも離れていて貧しかった。
しかし少女の母は移住する際持っていた貴重品を売ったため村の人間よりはマシな生活を送れていた。
それを妬ましく思うものもいる。
少女はこの村に移住してから毎日母から同じことを繰り返し言われて育ってきた。
「いい?感情的になっちゃだめ。嫌な事を言われても怒っちゃダメ。それと毎日起きたらこれをつけること。」
少女は言われた通り陰口や嫌がらせにも怒らなかった。
「お前の髪白くて気持ち悪い!変な血が混ざってるんだ!」
「この髪の色は神聖なのよ。とても綺麗でしょう?まぁ凡人…庶民に理解が出来ないのも仕方ないわよね。この村じゃろくな教育は受けていないでしょうから」
とくすくす笑ってみせる。少々高慢なところもあるが気高く誇りを持ちちょっとやそっとの嫌がらせや悪口では手折られない。
また家の前で馬の糞が捨てられた時なんて、呼び止めて素手でそれを掴むと、相手の顔に塗りたくり「勿体ないことするのね。馬糞は土に混ぜれば肥料になるのよ。より土もふかふかになるの。貴方の荒れた心と意地悪な顔も柔らかくなるといいわね」なんて言って見せた。
母のいいつけを守ってはいるがとても褒められたものでは無い。母もこれには頭を抱えることもしばしばあった。
けれど少女は村が少しでもマシになるよう土は積極的に弄ったし、持ってる知識を小さな子供に教えて先生の代わりにもなっていた。
ただ高慢なだけでは無い。賢さもあり人を思いやる心もあり、努力する健気さもある。
村の人間も徐々に少女達を受け入れ始める。
小さな子供達には慕われていたし穏やかな老人達は可愛がってもくれた。
上手く村に馴染めるようになってきていた。
たまに少女が摘んできたヨモギなんかで団子を作ってやれば子供たちは大喜びだ。花の名前もよく知っていたし手先も器用で花の冠なんかも作ってやっていた。そのため少女の後を子供たちはよく着いて回っていた
全てが順調だった。
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作者名:むよくちゃん | 作成日時:2023年11月22日 19時