角名くんに推されてます (ページ3)

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私は自分のこの身長が大嫌い

父も母も身長は高くないのに何故か娘の私だけこんなにも成長してしまった

小学六年生の頃には160あってそれで良くからかわれたりもした

「おい、どけよ！でかぶつ！！」

「身長高い女の妖怪は八尺様って言うんだぜ！！」

「先生ー！恩狸が前だと見えませーん！！」

同級生や下級生、周りの目が怖くなっていつも背を丸めて歩いた

近所のおばさんの何気ない一言に傷ついたりもした

「Aちゃんはランドセル似合わないわねぇ」

おばさんの言葉はデリカシーがないことが多いけど決して悪気があったわけじゃない。

それは分かっててもやっぱり少し傷ついた

中学生では170にまで伸びた。

「いいなぁAちゃん、背が高くて」

羨ましがられることもあった。恐らくそれは本心ではないのだろうけど。

「私は背が低くて高いところの物が届かないから取ってもらうしかないんだぁ」

(私は小さいのが羨ましい)

それでも中学では初恋もしたりした

「早川の好きなタイプってどんなの？」

「俺？身長低くて守りたくなるような子かな。こう、うさぎ系みたいな」

「在り来りかよ〜」

今まで背が高くて良かったなんて思うこと1度もなかった。

いつも下を向いて、からかわれないように、笑われないように、指をさされないように背を丸めて少しでも低く見られるように

そうやって歩いてきた

いつの間にか人と話すことも怖くて、スタイルいいねって言葉も怖くなって、素直に褒められても喜べなかった

でも、高校に入って角名くんに出会った

「なんで？身長高いとダメなの？」

「小さくてもブスはブス。高くても可愛いものは可愛い。」

「俺の推しがこんなにも可愛い」

だから少し、自信をもてた。

今まで自分から話しかけることなんて1度もなかった。

可愛いという言葉も綺麗という言葉も信じられなかった。

けど、変わりたいって思った

「す、角名くん！お、はよ！」

「…！おはよA」

初めて私からおはようと言った時の角名くんの顔は今でも覚えてる。

角名くんにとっては『推し』だけど、私にとって角名くんはとても大切な『好きな人』になったんだ