昼食 ページ32
稔さんとの食事中、私のスマホの着信音が鳴った。
稔さんに一言断りを入れて、私はスマホを確認する。
……藤巻先生からだ。
『明日の昼食ですが、僕の同僚を誘っても良いですか？』
藤巻先生の同僚？え、嬉しい！
『もちろんです。楽しみにしています！』
メッセージを送り、スマホを机に置くと稔さんから声を掛けられた。
「随分と嬉しそうですね」
「また顔に出てた？やだなぁ……」
「藤巻先生からですか？」
「えっどうして分かったの？」
「昼食、藤巻先生と食べていたでしょう」
「あ〜、うん。病院で唯一の仲良しさんなの！」
笑顔で伝えると、稔さんは真面目な顔をして「A」と私の名前を読んだ。
その表情を見て、私は食べ始めようとした手を止める。
「どうしたの？稔さん」
「藤巻先生にしていたことを私にもしていただけますか？」
「藤巻先生にしていたこと……？」
何のことか分からず、藤巻先生とのやり取りを思い出そうと頭を動かす。
ふと稔さんを見ると、私の食べていた料理をじっと見つめていた。
あ、もしかして。
「食べてるもの同じだけど……はい、どうぞ」
藤巻先生にあげたのと同じように、一口分の料理を稔さんの口元に近付ける。
すると、稔さんは箸を持っている私の手首を掴み、大きく口を開けて箸を咥えた。
箸を口から引き抜き、私を見つめたまま咀嚼してごくりと飲み込む。
箸が落ちる音が聞こえて、私は我に返った。
「あっ……ごめんなさい、箸……」
箸を取ろうと手を動かすけれど、稔さんは手を離してくれない。
目線を稔さんへ戻すと、稔さんはじっと私を見つめていた。
……これは、怒っている。確実に。
「藤巻先生に何をしたか、分かっていただけましたか？」
「……ごめんなさい」
「……Aが他人との距離感を忘れてしまったのは、私の責任でもあります。もう二度と、こんなことが無いように私がしっかりお教えいたしますね」
にっこりと微笑みながら手を離す稔さんに、私は硬直したまま青ざめる。
目が、笑っていない。
無事に明日を迎えられるか心配になりながら、私は落とした箸へ手を伸ばした。
続く
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ときあと(プロフ) - 雪さん» ご指摘ありがとうございます。少しずつ修正していこうと思います。今後も是非読んでいただけると嬉しいです。 (3月10日 22時) (
レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読みました。 読んでいて思ったのですが。。。 台詞の間(行間隔)あけてはどうでしょうか？ 行間隔が詰まっていると何だか読みにくいので。。。 (3月10日 22時) (レス) @page2 id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
ときあと(プロフ) - みつ丸さん» 冷静になって考えたら、自宅に監視カメラ付けてるのって相当ですよね…(汗)応援ありがとうございます！ (3月1日 20時) (レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
みつ丸(プロフ) - ドラマのお陰で、理事長=監視キャラのイメージがありますよね(笑)連載楽しみにしております！ (3月1日 20時) (レス) @page4 id: 8f46f7c20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ときあと | 作成日時：2024年3月1日 18時
