逃亡 ページ11
乙骨の手がゆらりと動いた。
何か変なことされたら抵抗してやる。
そんなふうに思っていた。
『え』
さっきの訓練のように、乙骨の手の行き先は
私の予測と全く違う所だった。
『...ちょ....っと』
頭を撫でられる。
時折、髪にすっと指を通されて広げられ、
またくしゃっと戻して撫でる。
危惧していた事態とは異なって、拍子抜けした。
おでこにキスをされ、
瞼、頬、首、肩、鎖骨までそれは続いた。
唇にしてくるわけでも、跡をつけるわけでもなく、
優しく、一瞬だけ触れるようなものだから
＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 強く抵抗できない。
キスが終わると
頬を愛おしそうに撫でられて、
至近距離で見つめられる。
なんだこれ、恥ずかしい。
何かしてきたら大声をあげてやろうと思っていたけど、
何にもできずに固まってしまう。
両手をとられて、にぎにぎ すりすりと触られる。
そのままベッドに優しく押しつけられて
頬にキスをされる。
いやだ。
自分が 嫌じゃない ことが、嫌だ。
この男とは離れなくちゃいけないのに、
心がぐわんぐわんと揺れる。
下がった唇が一度、鎖骨の下の胸元に触れて、
『やめて、乙骨くん』
拒否するタイミングを失ってしまった私は
すかさずそれを咎める。
乙骨が胸元にキスをしないまま 続いていたら、
ずっと拒否することが出来なかったのだろうかと
自分が酷く情けなくなる。
乙骨は私の顔をちらりと見て、
"うん、ごめんね"
と呟き、すんなりと私の上から退いた。
乙「お水、ここに置いておくから」
そう言って
またキャップを緩めた水を枕の横の台に置いた。
......ベッドのカーテンから出て行く。
＿＿＿＿＿＿ 顔が、熱い。
この顔を乙骨に見られたかと思うと
死ぬほど恥ずかしい。
まだ好きなのがバレたんじゃないか、
私の顔を見て、
このくらいにしておいてやろう と
そう思われたんじゃないか。
最後の胸元へのキスも
乙骨が私に拒否させるためのきっかけを作ってくれた
んじゃないかって、そう思ってしまう。
全力で逃げているはずなのに、
"逃がされている"ような気さえして。
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ももちゃ - いやぁ、いい小説やぁ､､、 (2022年12月18日 19時) (
レス) @page6 id: 8be011992d (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 今作も最高に最高な作品でした〜！！！！！ありがとうございます、、、、 (2022年7月25日 15時) (レス) id: 2b6b2b0610 (このIDを非表示/違反報告)
春風いちご - ああもう最高、早く小石さんの宗教作りません？ (2022年7月4日 20時) (レス) id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
chimuko(プロフ) - ほんと毎回天才すぎませんか、私もう小石様の書く乙骨しか見れません大好きです……これからも更新頑張ってくださいいいい応援しております(；；) (2022年7月3日 15時) (レス) id: 0efb2643b6 (このIDを非表示/違反報告)
げろ(プロフ) - うわ最高すぎます。これからも更新頑張ってください！！ (2022年7月2日 14時) (レス) id: b9f8def78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小石
| 作成日時：2022年6月26日 3時
