似たもの同士 第二話 ページ36
紙袋の中のたい焼きはまだ温かい。
一つは餡子もう一つはカスタード。
食べ物で機嫌をとろうという訳では無いが、これで少しでも気を晴らしてくれたらと、二つも買ってしまった。
片方は僕のかな。どちらも半分ずつにしようか。
そんなことを考えながら、スマホの画面を開いた。
｢……家には帰らない、か｣
画面に映し出されたマップには、青いピンが一つ。Aの現在位置を示すそれは、どちらのセーフハウスとも逆の方向にあった。
これは決して勝手に監視しているのでは無い。
互いの同意の上で、いざという時の為に位置情報を共有しているのだ。勿論何重ものロックをかけて。
こんな仕事をしているものだから、今何処にいるかが分かるだけでも随分と安心出来る。
｢ちょっと遠いな｣
この場所なら徒歩15分くらいか。普段なら運動がてら走っていたのだが、何せ燃えるビルから飛び降りたばかりだ。正直、一番痛かったのはあの強烈な平手打ちだったが。
｢……まあ、たまにはゆっくり行こう｣
マップを頭に叩き込んで、のんびり歩き出す。
彼女がこちらから離れ続けているのなら急がなければならない。しかし今、青いピンはその場に留まり続けているようだし……
……いや、なぜそんな所で止まっているんだ。
店の中でもない、ただの歩道で。
車内カメラを恐れてほぼ利用しないから、タクシー待ちでもない。
じわり、と、嫌なものが背に滲む。
まだ痛む体のことも忘れて、マップの示す元へ走り出した。
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えるみ(プロフ) - chiさん» コメントありがとうございます〜っ！！私も早く引っ付けたいです🥰少しずつ更新していきますのでぜひ読んでくださいね！ (2022年7月16日 18時) (
レス) id: 5298c64629 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - 想いあってるのに引っ付かないのもどかしくて切ない(T^T)更新楽しみにしてます♡♡ (2022年7月15日 22時) (レス) @page39 id: fa74c912f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるみ | 作成日時：2022年6月11日 13時
