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愉快大作戦 第一話 ページ22

「は?」


思わず出てしまったドスの聞いた声に、教室が一瞬静まり返る。数秒するとまた、あたりは昼休みの喧騒に飲まれた。




(ゼロ)声大きいってば……」

「わ、悪い。というか、本当なのかそれ」


小声でそう聞くと、口の端にカスタードクリームをつけたAは考えるように唸った。


「んー……私の気のせいかもしれないけどね。
あ、景のウインナーまたタコだ!可愛い!」

「ん、一個あげるよ。
……Aの気のせいにしても何にしても、このまま放っておくのは良くなさそうだね。もっと早く相談してくれたらよかったのに」


Aは景光から貰った餌……たこさんウィンナーを頬張りながら頭をかいた。自分も負けじと、卵焼きを弁当箱のフタに乗せて差し出す。

また餌付けしてる……と茶化すクラスメイトの声も気にならないのは、Aが相談してきた内容が内容だったからだ。
顔をとろけさせながら卵焼きを頬張るAは、とてもストーカー被害の相談をしているようには見えないだろう。


(ゼロ)ん家の味付け甘くて好き……」

「卵焼きくらいいくらでもやるから、そんなことよりそのストーカー野郎をどうするかだろ」


まだストーカーって決まったわけじゃ…と、5個入りのクリームパンの4つ目を取り出したAは知らない。
中学生の時、毎日Aをつけていた見知らぬ男がいた事。そして僕らが(景は止めようとしたが)そいつにお灸を据えてやったことを。



その当時は彼女の気づかないまま事が過ぎたが、今回はそうもいかないらしい。
毎日とまではいかないものの、頻繁に感じる何者かの気配を不安に思って、今日さりげなく話題に出してきたという訳だ。




「とりあえず、しばらくはオレか(ゼロ)が家まで送るよ。それで様子を……」

「いや、駄目だ」


思わず、景光の言葉を遮った。

気づいてやれなかった自分が情けなくて、Aを不安がらせた相手が許せなくて。家まで送るだけだなんてそんな甘いこと言ってられない。



「僕が絶対、そいつをとっ捕まえてやる!」

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えるみ(プロフ) - chiさん» コメントありがとうございます〜っ!!私も早く引っ付けたいです🥰少しずつ更新していきますのでぜひ読んでくださいね! (2022年7月16日 18時) (レス) id: 5298c64629 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - 想いあってるのに引っ付かないのもどかしくて切ない(T^T)更新楽しみにしてます♡♡ (2022年7月15日 22時) (レス) @page39 id: fa74c912f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるみ | 作成日時:2022年6月11日 13時

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