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ヒロ 第三話 ページ12

「景、大丈夫?」

「…………」


心配そうにこちらを見上げるAに、何も返事を返すことができない。



暗い場所が、怖い。
あの時の押し入れ…いや、クローゼットのような、暗くて狭いこの場所が。

どれだけ時が経とうとも、両親の仇をとろうとも、あの日の恐怖を完全に忘れられることは無かった。鼻の奥にまで届く鉄の匂いを、今でも鮮明に思い出してしまう。


無意識に腕に力が入って、Aがウッと苦しそうに声を漏らした。


「ごめんっ。……悪い。情けなくて」

「ううん。私もね、暗い部屋は怖いよ。
……父のこと思い出してしまうから」


Aの父親。職場の男に殺された。
(ゼロ)と助けに入った時、確かにあの家は暗かった。


「もう、忘れちゃいたいよね」


そう笑って顔を背ける彼女は、失った人のことを思い出にできないタイプだ。辛いことを思い出さないように、楽しかった思い出すらもまとめて蓋をする。


「……A」

「なぁに」


名前を呼んでも、もうこちらを向いてくれることはなかった。


「もし……もしオレが死んだらAは、思い出してくれるか?」

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えるみ(プロフ) - chiさん» コメントありがとうございます〜っ!!私も早く引っ付けたいです🥰少しずつ更新していきますのでぜひ読んでくださいね! (2022年7月16日 18時) (レス) id: 5298c64629 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - 想いあってるのに引っ付かないのもどかしくて切ない(T^T)更新楽しみにしてます♡♡ (2022年7月15日 22時) (レス) @page39 id: fa74c912f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるみ | 作成日時:2022年6月11日 13時

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