未来の話 ページ40
赤い封蝋に閉じられた手紙はかつての事を思い出させる。
それはあの頃の友人からだった。何人かとは今もこうしてやり取りをしているが、元気にやっているらしい。
新聞で見かけるほどの有名人になった者もいる。
あの荘園から解放されてそろそろ一年が経つ。
経緯を話すととても長くなるが、全員無事に外へ出ることが出来た。
ハンター達も解放されただろう。
「ピュイ」
「相棒、Aは部屋かい?」
飛んで寄ってきた梟にそう問うと、Aの部屋の方へ羽を羽ばたかせる。
結局、天眼を失うことは叶わなかった。
しかしそれに怯えることはもうない。
未来を変えることができる勇気を彼女が与えてくれたから。
目を隠す布はまだ手放せないが、それも彼女が楽しみに変えてくれた。
「A、いるかい?」
ノックをするも返事はない。
静かに扉を開くと、彼女は椅子の背もたれに寄りかかって眠っていた。
手元を見ると刺繍をしていたらしい。持ったままの針を取り上げ、丸い刺繍枠をテーブルに移した。
まだ途中だが細かく見事な梟の刺繍がしてあった。そしてこれは僕の目元に着ける布である。
常に未来が見えてしまうのは心地が良いものでは無いため、最初は目を隠してしまうのを申し訳ないと謝った。でも彼女はそれならと、色んな種類の目隠しを作ってプレゼントしてくれるようになったのだ。
……デザインが可愛らしすぎるのがたまに傷だが。
ともかく、このままでは体を痛めるだろう。
抱え上げて二人の寝室へと起こさないように運んだ。
430人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えるみ(プロフ) - あねもさん» 閲覧ありがとうございます!花言葉についてはあえて触れなかったのですが、分かってくれる方がいて嬉しいです……! (2019年9月22日 16時) (レス) id: 58f336f1ac (このIDを非表示/違反報告)
あねも(プロフ) - とてもおもしろかったです!最後に出てきた紫色のアネモネは、あなたを信じて待つという意味ですか?私自身、紫色のアネモネがとても好きなので嬉しくて思わずコメントしてしまいました!完結、お疲れ様でした! (2019年9月22日 4時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - *まめ丸*さん» 感動してもらえたなんて嬉しいです.......!またいつか新作作った時はよろしくお願いしますね!ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)さん» 完結させられて良かったです!閲覧ありがとうございました! (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
*まめ丸*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごくよかったです!感動しました!!えるみさんと出会えてとても幸せでした!!そしてお疲れ様でした!!えるみさんの素敵な作品いつまでも待っています!!えるみさんや作品大好きです!!えるみさんの幸せを願って。また会える日まで!! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えるみ | 作成日時:2019年7月13日 17時