12話 ページ12
｢ロケットチェアは基本60秒で飛んでしまう……
半分を超えなければ次は飛ばない………｣
ノックしようとした部屋の扉の奥から、ブツブツとつぶやく声が聞こえてくる。
一瞬迷いながらも、寝静まった荘園内にコンコンと音を鳴らした。
｢A、僕だよ。入ってもいいかい？｣
｢イライ、来てくれたの……！｣
少し物音がしたあとすぐに、微笑みを浮かべた部屋の主が顔を出した。
｢眠れていないと思ってね。ホットミルクを持ってきたんだ｣
なんだか懐かしい。
昔はよく、お互いに家を抜け出してこっそり会ったりしていたものだ。
｢へへ、たっぷりお昼寝しちゃったから全然眠くないや｣
｢…………明日のゲームが不安かい？｣
今日荘園に来た彼女は、明日の夜のゲームに参加することになった。
毎晩２１時に届けられる手紙に、翌日のゲームの参加が綴られている。
そこに、Aの名があったのだ。
｢そりゃあ、ね。
でも、イライも頑張ってきたんだから、私も頑張らなきゃ。
自分でここに来た以上、精一杯戦うつもりだよ｣
君には痛みも恐怖も、知らないままでいて欲しかった。
明日の試合参加者の中に、イライ・クラークの名は無い。
彼女がハンターに痛めつけられていても、何も出来ずにただ待っているしかないのだ。
こんなにも辛いことがあるだろうか。
｢そんな顔しないでイライ。神はきっと、守ってくれるわ。
私とイライをもう一度会わせてくれたんだもの。
神はきっと、傍にいる｣
まるで自分に言い聞かせるようだった。
嗚呼いけない。僕がこんな不安げな顔をしていては。
｢きっと君なら、大丈夫。どうか無事でいてくれ｣
自分に言い聞かせるように、そう言って、ゆっくりと彼女を抱きしめた。
｢……やっと二人っきりだね｣
歯の浮くような台詞とともに、彼女は抱きしめ返した。
小さな身体が震えていることには気が付いても、彼女が本当に不安に思っていることが何か、まだ知ることは出来なかった。
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えるみ(プロフ) - あねもさん» 閲覧ありがとうございます！花言葉についてはあえて触れなかったのですが、分かってくれる方がいて嬉しいです……！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: 58f336f1ac (このIDを非表示/違反報告)
あねも(プロフ) - とてもおもしろかったです！最後に出てきた紫色のアネモネは、あなたを信じて待つという意味ですか？私自身、紫色のアネモネがとても好きなので嬉しくて思わずコメントしてしまいました！完結、お疲れ様でした！ (2019年9月22日 4時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - *まめ丸*さん» 感動してもらえたなんて嬉しいです.......！またいつか新作作った時はよろしくお願いしますね！ありがとうございました！ (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
えるみ(プロフ) - カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)さん» 完結させられて良かったです！閲覧ありがとうございました！ (2019年8月15日 11時) (レス) id: 24de3ea6a1 (このIDを非表示/違反報告)
*まめ丸*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すごくよかったです!感動しました!!えるみさんと出会えてとても幸せでした!!そしてお疲れ様でした!!えるみさんの素敵な作品いつまでも待っています!!えるみさんや作品大好きです!!えるみさんの幸せを願って。また会える日まで!! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 7b0adad536 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるみ | 作成日時：2019年7月13日 17時
