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伊瀬谷の謎 ページ10

私は他人が思っているよりも、ずっと恋というものと隣り合わせていると。ふとした拍子に感じる。

今まで何人の女の子と関係を持ったかと問われると、正直覚えていない。
とはいえ恋愛的な意味ではない。どちらかというと愛でる対象として認識しているし、恋愛的な感情を向けることもない。

では男にたいしてどうなのかと問われると、何とも言えないのが事実。
男に興味があるわけじゃない。どちらかというと強い苦手意識がある。これに関しては過去のいざこざが原因のため、解決策というものはこの先一生見つからないことだろう。

では隣り合わせているとはどういうことなのか。
それは単純に、これはおそらくではあるが、私は惚れっぽいのだ。熱しやすく覚めやすい性格であるとは自負している。だが、それはそれとし惚れっぽいというか懐きやすいような気がする。
その条件は簡単、「年上·男·よく笑う·喋っているときの声が少し高い·一重」である。
声優界に多分100人くらいいる。しってる、現場にいる。
つまり何がいいたいかというと、ストライクゾーンに設置されている条件が緩いのだ。
そしてこの条件に合う人物のうち内面が好みな人たちを選っていくと大体30名ほど残る。
これが私にとって仲の良い異性の同業者というやつだ。
しかし、私は彼らのことを恋愛対象として見ているわけではない。私は親愛と恋愛的な愛情が変わらないのだ。
そのため周りからは○○さんの事好きなんですか?などときかれる。違う、そういうわけではない。私は奴らのことは別に恋愛対象として好きじゃない処かそう言った感じで見たことがない。
元々背の高い方が好きだったのに身長を気にしなくなったきっとあれだ、吉野や柿原のせいだ。
歌手から声優に移ったばかり、当時ようやく中学2年生になった私は今程あの馬鹿野郎に執心しておらず、寧ろ忙しさで存在を忘れていたくらいだった。

たがそこで会ってしまったのだ、丁度好みの人間に。

身長は誰かさんみたいに高くなくて、年も大分上だったが、どうにも声優は顔が若くていけない。当時から髭は生やしていたから当初大分距離は取っていたとおもう。男だし。
いったい何が原因なのかは忘れたが、何か決定的なことがあるまで私は至って適切な距離をとっていた。きちんと『三十路のおっさんと女子中学生(仕事の間柄)』の距離感だったとおもう。

はて何だったかと入れたてのコーヒーを啜ったタイミングで、我が家インターホンが鳴ったのが聞こえた。

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作者名:志賀 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=sab  
作成日時:2023年3月27日 18時

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