伊瀬谷！！！！俺だ！！！！ (ページ40)

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とあるいとこの嗜好事情ページ40

「伊瀬谷さんって濱さんの恋愛系のシュエーションボイスとか乙女ゲームの声聞いてもドキドキしたりしないんですか？」

「大体爆笑したあと体調不良になりますね。」

「_って、お前言ってたじゃん。」

「どこからその情報が漏れたのかだけ教えて貰ってもいい？」

　伊瀬谷Aは元々配信は仕事以外ではせず、時々気が向いたら顔出しをせずツイ○ャスで雑談配信をする程度なのだが、年に一度か二度You○ubeの個人チャンネルで生配信をすることがある。
　今回がその年に一度目の配信になるのだが、どこから聞き付けたのか(恐らく伊瀬谷本人のTwitterアカウントであるが)事務所に確認を取り万全の状態で濱健人が押し掛けて来た結果、画面には伊瀬谷の隣に濱が座って並んでいるところが映っていた。
　今回の配信でメインとなっている企画がマシュマロという匿名ツールやスーパーチャットに添えられた文に記載された質問に答えるというものだったため、突然の出来事にも伊瀬谷は見事対応してみせた。

　だが、伊瀬谷には一つ問題があった。
　彼女はこの日この配信をするということを直接濱に伝えてはいない。
　それは単に、『伊瀬谷が濱にこの配信を見られることを良しとしていないため』である。
　マシュマロにきている質問の取捨選択をする中で、伊瀬谷は確信したのだ。これはアイツに見られればめんどくさいことになるな、と。
　しかしそんな伊瀬谷の抵抗も虚しく、濱はTwitterから情報を得てこの場にやってきた。質問の内容を知らないにも関わらずこのタイミングでやってきたのはある意味強運だな、と思うと同時に、そもそもなんでコイツ来たんだろう。と伊瀬谷は不思議に思った。

　気にしていても仕方がないと準備を進めた伊瀬谷だったが、濱がわざわざやってきた理由は彼らが配信で喋りはじめて10分が経過したころ明らかになった。

「お前基本ゲーム音声全部切ってんじゃん、俺のボイス聞いてるところ見たことないんだよな。」

_コイツに余計なことを教えたのは一体どこのどいつだ。
　名前も知らぬ誰かに敵意を剥き出しにしたが、似たようなことを先日のラジオで話したなと思い出した伊瀬谷は、少し強張っていた自身の体が解れていくのを感じた。悪いのは誰かではなく話題の種をまいて収穫した自分なのだ、知らぬ誰かに怒る資格はない。

「他の人のボイスは別に何とも思わないんだけど、健人のはダメなんだよね。」

「なんでだよ。」