《俳優と訪問者》 11 ページ39
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「つまり、ドラマの撮影中に頻繁に楽屋に置いているものを盗まれる、と」
今日の分の撮影を終え、佐伯さんの車で安室さんと事務所の寮に帰ってきた。
ちなみに佐伯さんには安室さんのことを昔の友人と紹介しており、寮に泊める許可も貰っている。
あの安室透だとは、バレていないようだ。
安室さんの変装のおかげか、佐伯さんがそういった界隈に疎いのか。
今は帰宅し、安室さんが作ってくれたカレーを食べながら例の楽屋泥棒の件について説明した。
『多いのは今回のドラマだけど、他の番組のゲストで呼ばれたときにも何回か』
「同じテレビ局ですか?」
『いや、それもバラバラ。だからテレビ局で働いてるスタッフというよりは、俺の周りのスタッフの可能性が高いとみてるけど…』
「いつも仕事場についてきているのは?」
『マネージャーの佐伯さんとスタイリストとヘアメイクくらい。でも、3人とも小さいころから世話になってる人たちだし、怪しい感じはしなくて』
「つまり、信用していると?」
『まぁ、そんなとこ…』
子役の頃から俺の身の回りを世話してくれていた人たちだし、今更そんなことをする理由も分からない。
「楽屋にカメラを仕掛けてみますか」
『……安室さん、なんでそんな親身になってくれんの?早く帰りたいとか思わない?』
唐突にそう尋ねてみると、安室さんは目を丸くして俺を見た。
『……守るものが、あっちの世界にあるでしょ?…降谷零の、守るものが』
初めて面と向かって彼の本当の名を口にした。
丸かった目が細められる。
「僕は、本当にこの世界では有名人なんだな。これでも潜入捜査官なんだが」
口調が崩れ、フッと笑う表情は降谷零のものだった。
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澪々(プロフ) - 096さん» ありがとうございます!楽しみです! (2022年10月11日 7時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 澪々さん» コメントとリクエストありがとうございます!本編、番外編ともに読んでいただけて嬉しいです!リクエスト承りました!お時間いただきますが書かせていただきますのでお待ちください! (2022年10月10日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
澪々(プロフ) - 初コメ失礼します。本編も番外編も、何回も読ませていただいてます!リクエスト失礼します。夢主くんが、零くんの恋人兼同僚だったら…みたいなお話読んでみたいです!できたらでいいです。階級同じで。無理言ってしまってすみません。よろしくお願いします! (2022年10月10日 11時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 瑞希さん» こちらこそ見つけていただきありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!これからも頑張ります!! (2022年9月1日 16時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 096さんの安室さんは私が想像していた安室さんそのもので、この作品を見つけられて本当に良かったと思っています。これからも頑張ってください! (2022年8月31日 23時) (レス) id: 1e057cbbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2022年3月13日 21時