【名探偵コナン】異世界の訪問者 番外編7 《男主》

《俳優と訪問者》 8 ページ36

「深夜のテレビ番組でやってました。黒瀬さんがいないところでも、名前が挙がっていましたよ。街角アンケートのような番組で、推し俳優特集ってものが」



こちら側にとってみたら下世話な世間の声、なんていう番組か…。




「そうだ。もし許可が下りたらでいいんですけど、午後からの撮影、僕も一緒に行ってもいいですか？」

『…え？』

「興味があるんです。黒瀬さんに」



ドキッとしたが、表情は崩さない。





「もちろん、僕のことを知られているなら多少変装はしますし、迷惑はかけません。君も、一方的に僕のことを知っているとはいえ、家に1人残しておくのは不安でしょう？」



まぁ、組織の探り屋…なんて面もある彼だから、家にいたとしてもジッとしていないのは確かだろうし…。
でも別に、ここに知られて困ることはないけど…。



仕事が終わって家に帰って、もういなくなっていたら――…。



寂しい、という感情を久しぶりに感じた。







『…分かった。俺から事務所を通して、ドラマスタッフに話を通しておく』

「ありがとうございます」




本来は、ここにいるべき人ではない人だ。


彼がここにいることによって、向こうの世界がどうなっているのかは分からないが…。

いつ、いなくなってもおかしくはない。




だったら少しでも、この奇怪で不思議な体験を味わっていたいと思ってしまった。









・

《俳優と訪問者》 9→←《俳優と訪問者》 7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す