《リスタート》 14 ページ17
「…勘違いするな。逮捕じゃない。お前はしばらく、僕の監視下で生活してもらう」
『…は、なにそれ』
「お前の今までの境遇から、自暴自棄になっているだけだ。更生の余地がある、と僕が判断した」
この人のもとで生活して、更生…?
『国を守る警察が、こんなガキ一人に時間を割くつもりか?』
「問題ない。このままだと、お前は未来のテロ犯になりかねない。それに、僕がお前の家に住む」
『……は?』
聞き捨てならない言葉が聞こえて、思わず耳を疑った。
住むって言ったか?
俺の家に?
つまり、一緒に?
『ふざけんな。誰がお前なんか信用するかよ…!』
「信用する、しないの問題じゃない。これは決定事項だ。それに、僕と暮らすのも悪いことじゃない。生活費や学費の援助はするし、3食飯付き。どうだ?」
どうだ?じゃねぇし…。
「A、頼む。お前を一人にしておけねぇんだ。もっと、俺が支えてあげられればよかった…。でも、俺だけじゃお前の心の隙間は埋めてやれない」
新一の悔しそうな表情に胸が締め付けられる。
『っ…無理だよ、今更…そんな…』
変われるわけない。
誰か一人が俺の傍にいたからって、きっと何も変わらない。
「君がもう苦しまなくていい世界を作る。だから心を閉ざさないでほしい。君が明るい未来を歩むための、手伝いをさせてくれ」
どうして俺にそこまでする?
出会ったばかりのガキの俺に…。
「A。お願いだから、自分を大事にしてくれ。そんで、心の底から笑ってほしい。幸せになってほしい」
偽りのない、心の底からの新一の言葉。
ずっと、辛い思いを新一にもさせてしまっていたのか。
「…っ!A…」
新一と、そして安室さんも驚いたように俺を見つめていた。
『え……?』
そこでようやく、自分の瞳から流れる雫に気付いた。
『あ…、なんで…』
流れる涙を止めようと目元を抑えるも、止まってくれない。
「…ずっと泣いていたんだよ、君は」
安室さんの優しい声が頭上から降ってきた。
「今まで流せなかった分、これからは我慢しなくていい。もう、何も心配しなくていいんだ」
優しくて温かいぬくもりが体を包む。
そのまま頭を撫でられてしまえば、もう我慢できなかった。
その日初めて、人目もはばからず号泣した。
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澪々(プロフ) - 096さん» ありがとうございます!楽しみです! (2022年10月11日 7時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 澪々さん» コメントとリクエストありがとうございます!本編、番外編ともに読んでいただけて嬉しいです!リクエスト承りました!お時間いただきますが書かせていただきますのでお待ちください! (2022年10月10日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
澪々(プロフ) - 初コメ失礼します。本編も番外編も、何回も読ませていただいてます!リクエスト失礼します。夢主くんが、零くんの恋人兼同僚だったら…みたいなお話読んでみたいです!できたらでいいです。階級同じで。無理言ってしまってすみません。よろしくお願いします! (2022年10月10日 11時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 瑞希さん» こちらこそ見つけていただきありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!これからも頑張ります!! (2022年9月1日 16時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 096さんの安室さんは私が想像していた安室さんそのもので、この作品を見つけられて本当に良かったと思っています。これからも頑張ってください! (2022年8月31日 23時) (レス) id: 1e057cbbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2022年3月13日 21時