《リスタート》 11 ページ14
・
家にも帰らず学校にも行かず、俺は紫藤が用意したホテルのスイートで生活していた。
毎日のように新一から電話がかかってくるが、一切無視だ。
広いジャグジーで体を温めながら寛いでいると、ノックもなしに紫藤が入ってきた。
「黒瀬くん、ここでの生活は慣れたかい？」
『まあ。不便はないかな』
「それはよかった。…君に仕事をもってきたよ」
ついにきたか…。
「この男から、情報を奪ってきて欲しい」
紫藤が俺の目の前に対象の情報が書かれた資料を広げた。
『殺すの？』
「いや、そこまでは。それに、君の体を使う必要もない。これを使ってくれ」
そう言って紫藤が取り出したのは小瓶に入った液体。
「ただの睡眠薬さ。彼の所持しているUSBを奪ってきて欲しい」
『……わかった』
浴槽から立ち上がり、タオルを手に取り水気を拭っていく。
「対象は今夜、銀座のバーに現れることをリーク済みだ。そこで接触して欲しい」
俺からタオルを奪い、俺の体を拭きながら、紫藤は詳細を説明していく。
それを頭に入れながら、俺は紫藤が用意した服に袖を通した。
・
仕立ての良い服に身を包み、俺は銀座のバーにやってきた。
すぐに記憶していた対象をカウンター席に見つけ、その隣に座った。
『マンハッタンを』
バーボンベースのスタンダードなカクテル。
アルコール度数は高いが、酒には強いほうなので問題はない。
すでに未成年というのが問題だが、もうそれも今更だ。
カクテルを待っている間も、チラチラと隣から俺に向かって投げられる視線を感じていた。
少しして視線を向けるとパッと逸らされた。
『…俺の顔に何か？』
頬杖をついて、男を覗き込むように首を傾げる。
「い、いや…随分若い子だな、と思って」
『20歳になったばかりなんです。バーも初めてで。…よかったら、教えてくれません？いろいろ』
「…そうなのか。私でよければ、ぜひ」
警戒は解けたらしい。
あとはどうやって、この男に取り入るか。
USBは今所持しているのかを確認しなければならない。
そしてどうやって睡眠薬を仕込むか…。
『！』
知った気配を感じて、肩をわずかに震わせた。
確認することはしないが間違いない。
この気配は…新一だ…！
「どうかした？」
『いえ。初めてのバーで不安だったので、貴方みたいな優しい人に出会えて嬉しくて』
動揺を出さないように笑みを浮かべた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 505人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
澪々(プロフ) - 096さん» ありがとうございます！楽しみです！ (2022年10月11日 7時) (
レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 澪々さん» コメントとリクエストありがとうございます！本編、番外編ともに読んでいただけて嬉しいです！リクエスト承りました！お時間いただきますが書かせていただきますのでお待ちください！ (2022年10月10日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
澪々(プロフ) - 初コメ失礼します。本編も番外編も、何回も読ませていただいてます！リクエスト失礼します。夢主くんが、零くんの恋人兼同僚だったら…みたいなお話読んでみたいです！できたらでいいです。階級同じで。無理言ってしまってすみません。よろしくお願いします！ (2022年10月10日 11時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 瑞希さん» こちらこそ見つけていただきありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです！これからも頑張ります!! (2022年9月1日 16時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 096さんの安室さんは私が想像していた安室さんそのもので、この作品を見つけられて本当に良かったと思っています。これからも頑張ってください！ (2022年8月31日 23時) (レス) id: 1e057cbbf5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：096 | 作成日時：2022年3月13日 21時
