《全て支配して》 2 ページ2
『水…飲めそう?』
一定の距離を保ってそう尋ねると、彼は小さく頷いた。
そっと近づいて、床にコップを置いた瞬間――…。
『!』
ぐいっと手を引かれ、そのまま玄関先に押し倒された。
瞳孔が開き、飢えた獣のように欲望を丸出しにした彼が俺の上にいた。
倒れたコップの中に入っていた水が、しっとりと俺の服の袖を濡らしていく。
『…最初からこうしたかったんじゃん。意地にならなくていいのに』
「っ、ちが…」
零さんは、理性と本能との間で戦っている。
体は熱を持ち、欲を吐き出したくて仕方ない。
一方で、俺を傷つけることを拒んでいる。
でも、俺は零さんが楽になるなら…傷つけられたってかまわない。
『いいよ。好きにして』
そう言うと、零さんはビクッと肩を震わせ、瞳に僅かに怯えの色を浮かべた。
「い、やだ…っ、お前に…酷いことをしてしまう…」
『いいってば』
「はやく…っ、振りほどいてくれ…ッ」
辛そうにそう吐き捨てられ、僅かな理性を傾かせて零さんは俺の手首を掴む手を緩めた。
だけど、俺は逃げるつもりなんてない。
『…俺にこういうことしたくないなら、なんでこの家に帰ってきたの』
セーフハウスでも、本邸でも、他にも帰る場所はあったはずだ。
でも零さんはここに帰ってきた。
俺のいる、この家に。
核心をつく問いに、零さんは目を見開いたあと、泣きそうに表情を歪めた。
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澪々(プロフ) - 096さん» ありがとうございます!楽しみです! (2022年10月11日 7時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 澪々さん» コメントとリクエストありがとうございます!本編、番外編ともに読んでいただけて嬉しいです!リクエスト承りました!お時間いただきますが書かせていただきますのでお待ちください! (2022年10月10日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
澪々(プロフ) - 初コメ失礼します。本編も番外編も、何回も読ませていただいてます!リクエスト失礼します。夢主くんが、零くんの恋人兼同僚だったら…みたいなお話読んでみたいです!できたらでいいです。階級同じで。無理言ってしまってすみません。よろしくお願いします! (2022年10月10日 11時) (レス) id: d400c2c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 瑞希さん» こちらこそ見つけていただきありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!これからも頑張ります!! (2022年9月1日 16時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
瑞希(プロフ) - 096さんの安室さんは私が想像していた安室さんそのもので、この作品を見つけられて本当に良かったと思っています。これからも頑張ってください! (2022年8月31日 23時) (レス) id: 1e057cbbf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2022年3月13日 21時