【名探偵コナン】異世界の訪問者 番外編《男主》

IFストーリー《地獄で会おう》 3 ページ8

『俺も…いく、から…。最期まで一緒って、約束でしょ…？』



涙で視界が滲み、彼の顔がしっかり見えない。

ちゃんと、見たいのに。見守りたいのに…。



冷たい手が、滑り落ちる。


微かに、零さんが笑った気配を感じた。




それを最期に。

ぬくもりも、息遣いも、心臓の鼓動も…全て消えた。


そうなってしまえば、悲しみも、喪失感も…絶望も。


全ての感情が抜け落ちたかのように冷静さを取り戻す。




『……お疲れ様』


瞼を閉ざして、その体を一度強く抱きしめる。



今彼にかける言葉は、“どうして”でも“逝かないで”でもない。

この国を守るために命を懸けて闘った彼への…労いの言葉だ。




少しして、零さんの体をゆっくりと地面に寝かせる。


ジンも、すでに絶命していることを確認し、スマホを取り出した。




『…もしもし、コナンくん…、今から言う場所に、風見さんと…あと赤井さんと一緒に来て』


電話の向こうでコナンが何かを言っているようだが、もう何も頭に入ってこない。


今いる場所だけを伝えて、電話を切った。




眠るように動かない零さんを見つめて、綺麗だな…なんて思ってしまう。




そして、俺は自身の首もとにかかっているチェーンから指輪を外し、零さんの脇に置いた。



きっと、俺は消えてしまうから。
これは貴方が持っていて。

俺がこの世界にいた証を、残させて。




『…ひとりには、させてやらないんだから』


俺たちは、運命共同体。


貴方がいない世界では、生きていく意味がない。





持っていた銃を、自身のこめかみに。








地獄で会おうね、零さん――。





end

男主誕生日記念《Happy Birthday!!》1→←IFストーリー《地獄で会おう》 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す