１０８話 ページ18
まるで息を吐くように、全員が驚愕に包まれる中を、グレンの言葉はすり抜けていった。
グレン「だが今後の作戦にはまだ多くの人員が必要だ。
だから俺たちでクローリー・ユースフォードを潰し、仲間たちを救う。敵は待ち伏せしているだろう、より危険度の高い任務だ。
泣いている暇はない、気を引き締めろ。」
グレンの話が終わり全員の顔に気迫がこもる中、いつになく優しい顔をした深夜が手をひらひらさせグレンに近づいている。
深夜「グレン、ちょっと。」
グレンはその姿を横目で確認すると、自分は決してその場を動かず口を開いた。
グレン「なんだよ。罠だとわかってて行くべきじゃない、か？」
深夜に文句を言われる、と思ったグレンは、不機嫌さを顔から隠そうともしない。
深夜「いや、行かざるを得ないでしょう。今部隊を失ったらもう僕らに与えられた役目は果たせない。全てをめぐみに頼ってしまっても、作戦は失敗する。」
グレン「ならなんの文句がある。」
深夜「文句があるなんて言ってないじゃーん。」
グレンが不貞腐れたように返すのを、思わず可愛いと思ってしまった深夜は笑いながらグレンに手を伸ばす。
グレン「じゃあなんだ。」
深夜「大丈夫かなって思って。」
深夜の口から出た言葉は、グレンを心配するものだった。瞬間、深夜の伸ばした手がグレンの腕を、体を捕まえる。深夜の温度が、グレンに伝わる。
深夜「仲間がたくさん殺された。君はそういうの苦手だろ？」
グレン「.....。」
耳元から聞こえる深夜の声。
目線の先には、めぐみと深夜以外の仲間が見える。
グレンは一度目を閉じると、顔を上げ深夜を見た。
グレン「平気だ。今はまだ戦場だぞ？」
深夜「そこで自分を責めちゃうのが君の良さじゃない。僕の胸で泣いちゃうか。」
少しちゃちゃを入れるようにこちらを見る深夜から、グレンはﾊﾞｯと勢いよく離れる。
グレン「うるせぇなぁ。
仮に泣くにしても家に帰ってから一人で泣くよ。」
深夜「泣くのかよ〜。」
グレン「仲間が死んだら泣くだろ。でも今はまだ泣けない。任務を進めるぞ。」
グレンの強い瞳に、深夜も安心したように笑った。
誰一人、優しい風が吹いていることには気付かずに。
真昼「グレン、もう少し力抑えないと...またすぐ限界がきちゃうのに。
本当に仲間が好きね、グレン？
私の可愛い妹も、もう貴方の仲間みたいね。
あぁ、めぐみに会いたい。
ふふ、あの子のあの残酷な心が選ぶのは...どっちなんだろう？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 221人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美桜(プロフ) - 深夜夢で1番好きです(^^)更新しず〜っと待ってます(TT)♡ (2022年8月11日 23時) (
レス) @page23 id: 73811d8464 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー(プロフ) - 見てきた終わりのセラフの夢小説で一番好きな作品です。また主様が書き始めることを楽しみに待っています。 (2022年7月18日 1時) (レス) id: 00ad156d2e (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私、この小説が大好きで何回も読み返しています！！私は、この小説を愛していきます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！！ (2020年5月14日 20時) (レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
Kamiya Kaji725 - この作品大好きです！私のハートズドンされちゃいましたよー笑笑。深夜大好きなんです！！深夜と夢主ちゃんの絡みが……かわいい！更新頑張ってください！応援してます！！ (2018年2月15日 18時) (レス) id: e7cf133723 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 過眠さん» ありがとうございます(^^)なかなか更新できずすみません！！私はそのままくろべにって読んでます…そのままですみません( .. ) (2018年1月17日 17時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：伊坂紅 | 作成日時：2017年10月14日 20時
