90話 ページ50
弥生「敵はもういるはずです。情報では外の緑道広場のベンチに、毎日このくらいの時間に現れるとのことです!」
利香「あ〜なんかそう言われると急に緊張してきたんだけど〜。」
ギュッと自分を抱き締めた井上利香に、鳴海は強い瞳で答える。
鳴海「落ち着け。勝てる戦いだ。敵はこちらを知らない、侮ってる。だが私達は十分に準備をしてきた。ここで死人は出ない。少なくとも鳴海真琴隊と...」
シノア「柊シノア隊は、冷静に、犠牲を出さずに任務を遂行します。」
誰かが時計を開いた一瞬、目の前が真っ暗になった気がした。
「残り1分。」
シノア「薬を出して。ラスト10秒で薬を飲みます。」
全員が薬を手に持ち、緊張した顔つきに変わる。優は1人ネックレスを握りしめ、割れた窓ガラスの向こう側を見つめていた。
優「(サービスエリアから...いや、グレン達3人と戦ってから、Aの力を強く感じる。今も...。
あいつは1人で吸血鬼を相手にするのか。それも2人も?何なんだよ、A...お前何者なんだよ。中将ってそんな強いのか?あいつは...いつも俺に何も言わないんだ、だから不安になる。)」
その時、優が握りしめていたネックレスの羽から、フワリと何かが流れ込んできた。
優「(...?温かい。
はは、なんかAに抱き締められた時みてぇ。...よし、絶対任務を成功させて、Aとグレンの野郎に俺が強くなったことを証明させてやる。)」
グッと握りしめた拳には、もう薬が握られていた。
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サァッ
与一「ふー。ふー。ふー。」
深夜「はい与一君落ち着いて〜。緊張しない。任務まであと2分だよ。」
今は使われていない電波塔の上。鉄骨に背中を預けて肩で息をする与一に、深夜はスコープに目を通しながら言った。
与一「で...でも僕らが失敗したら...」
深夜「失敗しないよ。それに、失敗しちゃってもまだ白兵戦チームがいる。だから気楽にね。」
与一「気楽に...?」
深夜「君、狙撃任務での実戦初めてなんでしょ?グレンに教えてやってくれって頼まれた。全部教えてあげるよ。だから落ち着いてまず深呼吸。」
深夜の言葉に、与一は素直に目を閉じて深呼吸をする。
深夜「で、気持ちを楽に。ゆったり空間を支配する。狙撃組は誰よりも冷静に敵を殺し、仲間を援護し、そして逃げ遅れた仲間は捕えられて拷問される前に殺す仕事だから。」
深夜の冷酷な声から紡ぎだされる言葉が、与一の頭に強く響いた。
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伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» 度々すみません。お手数ですが、目次のページの一番上と一番下、両方に名前を入れていただくと変換して見れそうです。 (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!すみません、直し方を探してみます(T_T)ご指摘ありがとうございます! (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - いつも楽しく読んでます!名前変換しても『めぐみ』になっちゃうんですけど、直せますかね?すみませんっ! (2017年10月12日 18時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 終わりの魔女さん» 夜空の涙、見させていただいてます!そんな方々に応援していただけてとっても嬉しいです!世界崩壊前の話もどこかで混ぜようと思うので、是非これからも宜しくお願いします!! (2017年8月27日 0時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 日和さん» ありがとうございます!!どこかで出会いの話も入れたいなと思っています!日和さんの作品読ませていただいていたので、コメント本当に嬉しいです!! (2017年8月26日 23時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊坂紅 | 作成日時:2017年8月13日 8時