【終わりのセラフ】願いの雫 -2-

８９話 ページ49

秀作｢真琴。あと4分だ。｣

岩咲秀作が時計を見てそう告げると、鳴海は静かに頷いた。

鳴海｢お遊びの時間は終わりだ。君達がクソほどの役に立たなくても、私達の部隊で任務は必ず達成する。｣

優｢はぁ？俺らちゃんと役に立っ...｣

シノア｢わーわー。騒がしくして申し訳ありません。｣

鳴海の言葉にすぐに反応した優を、君月と三葉が力ずくで黙らせる。

シノア｢ですが、さっき百夜優一郎二等兵が言った言葉は我が隊全員の意見です。私達はまだひよっこですが、鳴海真琴隊の皆さんの足でまといにならないよう精一杯頑張らせていただきます。｣

鳴海｢よし、いいだろう。なら全体の指揮は私が執る。｣

シノア｢よろしくお願いします｣

さすが柊家、といったところか。相手の立て方も心得ている。

鳴海｢秀作。任務の最終確認をしてくれ。｣

秀作｢14時、一瀬グレン中佐率いる吸血鬼殲滅部隊月鬼ノ組は、名古屋に点在する吸血鬼貴族９人に一斉に攻撃を仕掛ける。鳴海真琴隊、柊シノア隊に与えられた任務は、第十五位始祖ルカル･ウェスカー始末だ。もし倒せなくても、ルカル･ウェスカーが他の貴族と合流しないよう防ぎ、地下街で一瀬グレン隊が第十九位始祖メル･ステファノを始末して合流してくれるのを待つ。名古屋にいる貴族は合計10人。そのうち9人を14時15分までに同時に全員殺す。柊A中将は、1人目を殺し次第2人目へ向かう。これで10人だ。｣

鳴海｢貴族1人につき月鬼ノ組３チーム、15人で始末する。だがどの持ち場もそれほど離れていない。貴族を殺しそこなって合流されたら終わりだ、我々は壊滅する。おまけにここは私達と君ら２チームしかいない。つまり期待されてる。絶対に失敗は許されない。一人の失敗は...｣

シノア｢月鬼ノ組100人の命運に関わる。｣

三葉の額に、一粒滴が落ちる。

鳴海｢抹殺対象の名前も覚えていないような怠け者がいたら全滅の可能性があるということだ。｣

優を睨み先ほどの失態を告げる鳴海に、優は淡々と言い返した。

優｢殺す相手の名前覚える必要ないだろ。
でも、絶対に守らなきゃいけない仲間の名前はもう覚えてる。シノア、君月、三葉、与一...
鳴海真琴、円藤弥生、井上利香、鍵山太郎、岩咲秀作。ここで仲間は絶対に死なせない。グレンの言った通り、勝って帰る。吸血鬼どもは皆殺しだ。｣

自分達の名前をスラスラと言ってみせた優に、鳴海真琴隊は驚きが隠せなかった。
鳴海は優から視線を逸らす。

君月｢あと2分だ。｣

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