87話 ページ47
グレン「よし、ガキどもの教育も終わったし、そろそろ吸血鬼の貴族どもを殺しに移動するか。」
立ち去るグレンの背中を不思議そうに見つめる優。
サァッ
その時、グレンにだけ風が吹いた、そんな気がした。
真昼「ねぇ、凄く嬉しそうなグレンにこんなこと言うの嫌なんだけど...でも、言うね?
グレン、貴方失敗したわ。今すぐ助けてあげないと、この先支障出ちゃうかもよ?」
真昼の言葉に、はっと振り返るグレン。その視線は、ビルの屋上の一点を見つめていた。
グレン「ちっ...黒い...!!」
舌打ちをして走り出したグレンに気付いた深夜も、追いかけてきた。
真昼「あは、深夜も気付いたみたい。
黒紅に呑まれることで前のAに戻る代わりに、心をいずれあの最悪の鬼に喰われてしまうか...今のように夜桜に呑まれて人間さを失っていくか。
...どちらにせよ破滅なのにね。」
聞こえないふりをしているが、グッと噛み締められているグレンの唇を見ると、真昼はふふっと笑って姿を消した。
ダンッ
ビルの壁を蹴り一気に屋上に上ったグレンと深夜の先には、風に靡かれながら目を閉じるAの姿があった。
深夜「前より...黒い。」
思わず呟いた深夜の声に、Aが反応を見せる。
貴「黒い...?そうかな、今は夜桜のおかげで凄くスッキリしてるの。」
目を開けたAを見て、グレンが苦しそうに深夜に言う。
グレン「悪い、俺が間違えた。
深夜、あいつを頼む。」
グレンの言葉を聞くと、深夜はグレンに少し笑いかけAの方へ歩き出した。
深夜「ん〜、グレンのせいじゃなくない?Aのこと一人にさせたのは僕も同じだ。」
グレンを追い越しAの前で止まった深夜は、Aの目を見て笑うのをやめた。
グレンはもう、屋上から飛び降りていた。
深夜「A、今何を思ってる?言えよ。」
何時もと違うきつい口調の深夜に対し、ニコニコと笑っているA。
貴「.....。」
Aは、笑っているだけで何も言わない。だが、深夜から目を逸らしもしない。
深夜「A。」
深夜の低い声でもう一度名前を呼ばれたAの顔から、笑みが消えた。
貴「...深夜は、違う?深夜は、守ってくれるの?」
グレンの立ち去る前の苦しそうな表情と似た顔をするAを、深夜はギュッと抱き締めていた。それが深夜の、答え。
深夜「ごめんね、一人にして。」
深夜の温もりでAの表情が和らぐ。
深夜「はは、僕のお姫様。
...むしろ守らせてよ。」
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伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» 度々すみません。お手数ですが、目次のページの一番上と一番下、両方に名前を入れていただくと変換して見れそうです。 (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!すみません、直し方を探してみます(T_T)ご指摘ありがとうございます! (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - いつも楽しく読んでます!名前変換しても『めぐみ』になっちゃうんですけど、直せますかね?すみませんっ! (2017年10月12日 18時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 終わりの魔女さん» 夜空の涙、見させていただいてます!そんな方々に応援していただけてとっても嬉しいです!世界崩壊前の話もどこかで混ぜようと思うので、是非これからも宜しくお願いします!! (2017年8月27日 0時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 日和さん» ありがとうございます!!どこかで出会いの話も入れたいなと思っています!日和さんの作品読ませていただいていたので、コメント本当に嬉しいです!! (2017年8月26日 23時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊坂紅 | 作成日時:2017年8月13日 8時