85話 ページ45
ザッ
グレン「終わりだ。お前の仲間は皆殺しになる。」
優が振り向いた視線の先には、脅える三葉のすぐ手前にいるグレンが見えた。その距離は、起爆符につられ前に出てしまった優には、もう、届かない。
ヒュッ トンッ
簡単に三葉の首の後ろを峰打ちしたグレン。ドサッと倒れる三葉を見て、シノアの頭から冷静さが消えた。
シノア「...こ...のっ!!」
グオッ
踏まれていた武器を力尽くで引き抜きそのままグレンへ振り翳すシノア。それをいとも簡単に避けたグレンはスッとシノアに切先を向けた。
グレン「それ判断ミスだぞシノア。指揮官は勝てない相手に武器を振るな。」
キンッ ピタッ
シノアの手に握られていた大鎌がグレンの一振りで飛ばされた次の瞬間、グレンの刀はシノアの、眉間の前で止まる。
グレン「他二人は、遅ぇよ。」
「「!!」」
グレンの背後を襲おうと飛び込んできていた与一と君月は、まるで見えているかのようにそう言うグレンとの力の差を感じ止まってしまう。
グレン「シノアは初太刀で殺せた。三葉は峰打ちだ。つまりあっさり二人戦死だ。指揮官も失った。お前らは終わりだ。」
三葉「うっ...」
三葉が、せめて立ち上がろうと両手に力を込めて地面を押す。
グレン「黒鬼装備が三人もいてこのザマは何だ?まるで連係が取れてねぇよ。おまけにこれから襲う予定の吸血鬼の貴族共は俺達よりも全然強い。なら今後どうやって戦うつもりだ?冗談言ってへらへら笑いながら戦死するか?」
グレンの言葉に、強く拳を握る少女が、一人。
シノア「.........」
三葉も、与一も、君月も、その背中に何も言えなかった。
優「ふーむむ?」
深夜の前で、うーんうーんと唸りながら首を揺らす優は、果てしなく空気が読めていない。
深夜「.....。」
美十がそんな優に気づき、戸惑っている時、その声は響いた。
グレン「さて、つーわけで久しぶりの新人だ!!全員16歳!!黒鬼装備が三人いるがまだ16のガキだ!!お前ら面倒見てやってくれ!!」
優達を指し、心なしか少し愉しそうに紹介するグレン。雰囲気は一転し、見学していた周囲がグレンの紹介を聞きザワつく。
「おいおい黒鬼装備が三人もいんのかよ。」
「黒鬼いても連係取れなきゃ役に立たないよ。」
「でもやっぱグレン中佐はやるな〜。」
それぞれが好き勝手話している。そんな周囲の言葉を全く気にしていないのは、先程首を揺らしていた優だけだ。
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伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» 度々すみません。お手数ですが、目次のページの一番上と一番下、両方に名前を入れていただくと変換して見れそうです。 (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!すみません、直し方を探してみます(T_T)ご指摘ありがとうございます! (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - いつも楽しく読んでます!名前変換しても『めぐみ』になっちゃうんですけど、直せますかね?すみませんっ! (2017年10月12日 18時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 終わりの魔女さん» 夜空の涙、見させていただいてます!そんな方々に応援していただけてとっても嬉しいです!世界崩壊前の話もどこかで混ぜようと思うので、是非これからも宜しくお願いします!! (2017年8月27日 0時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 日和さん» ありがとうございます!!どこかで出会いの話も入れたいなと思っています!日和さんの作品読ませていただいていたので、コメント本当に嬉しいです!! (2017年8月26日 23時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊坂紅 | 作成日時:2017年8月13日 8時