70話 ページ21
夜桜「おい、お前本当にいいのか。」
地面に刺さっている刀の上に胡座をかいている夜桜は、それはそれは絵になる様なイケメンだ。自分の鬼であるけれど、Aは整いすぎている夜桜と黒紅を自慢に思っている。
貴「うん〜?名古屋行くこと、夜桜は良く思ってないの?」
夜桜「いや...お前が名古屋に行くことは別にいい。この前の密偵で分かったけど、あそこを潰すのはでかいからな。でも違ぇだろ。今回はお前の部隊じゃないし人数も比じゃない。何でグレンの隊に行かせる?」
貴「暮人の話聞いてたでしょ?私は今回一人で動く。暗殺なら一人のが本領発揮できるしね。
それにグレンの部隊が最初に行くのは...その後の為だよ?」
夜桜「っ。...それでいいのかって言ってんだよ。またグレンの容態も進むな、これは。グレンが真昼に乗っ取られていく理由...あいつが弱いだけかと思ってたけど、これではっきりした。A、お前のせいだな。」
Aが目を細めて夜桜を見るのと同時に、夜桜に向かって伸びていた光が閉ざされ空が暗くなる。驟雨がきそうな...そんな空気だ。
貴「夜桜...何が言いたいの?グレンの鬼化が進むのは私のせい?なんで。」
ズンッと空気の重くなったAの視線に、グッと耐えて負けじと夜桜も睨みつける。だがその額には、汗が一粒流れていた。
夜桜「お前...自分の大切な人だけ守って、グレンの大切な人はまるで無視じゃねえか!!いつもそうだ...いつもグレンだけが失う。Aは狡いんだよ。お前の代わりにグレンは、あの日から失って失って失い続けてる。そしてまた失うんだ。そりゃ耐えられないに決まってんだろ!!!」
夜桜の怒鳴り声にも、Aはピクリともしなかった。それどころか少しづつ空気がピリピリと重くなる。ドサッと音がして、夜桜はもうバランスが取れずに地面に横たわった。
貴「それはグレンが選んだ事。それにあっちのグレンはそれを望んでる。
まあ確かに、私グレンの大切な人とか興味無いよ。だって、こんな世界で他の人を気にかける余裕なんて無いから。あの日、私は私の大切な人を守るって誓った...天使に誓ったんだ。悪いけど、私の大切な人の為なら何だってするし、誰だって犠牲にする。あの日そうしたように...。それは二人がよく分かってるんじゃないの?」
スッと影から黒紅が姿を現す。その瞳は悲しそうに揺れていた。
黒紅「夜桜...Aを責めないで。」
夜桜「...チッ
Aに甘すぎんだよ、お前は。」
108人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» 度々すみません。お手数ですが、目次のページの一番上と一番下、両方に名前を入れていただくと変換して見れそうです。 (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!すみません、直し方を探してみます(T_T)ご指摘ありがとうございます! (2017年10月12日 18時) (レス) id: bdcb2a452e (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - いつも楽しく読んでます!名前変換しても『めぐみ』になっちゃうんですけど、直せますかね?すみませんっ! (2017年10月12日 18時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 終わりの魔女さん» 夜空の涙、見させていただいてます!そんな方々に応援していただけてとっても嬉しいです!世界崩壊前の話もどこかで混ぜようと思うので、是非これからも宜しくお願いします!! (2017年8月27日 0時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
伊坂紅(プロフ) - 日和さん» ありがとうございます!!どこかで出会いの話も入れたいなと思っています!日和さんの作品読ませていただいていたので、コメント本当に嬉しいです!! (2017年8月26日 23時) (レス) id: 9ae2ad2059 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:伊坂紅 | 作成日時:2017年8月13日 8時