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『今日は大きな月が出てる。月明かりに反射して、わんちゃんの目も湖も、とっても綺麗だわ！』
狼『ガルルルルッ…！』
『えっ！？怒ったの！？』
KA「ハハハッ！わんちゃんなんて馬鹿にするから！」
『ご、ごめんなさい！馬鹿にしたつもりはないのよ！？でも、とっても大人しくて可愛いから、つい…！』
KA「………俺のことも、見えてるの？」
『えぇ。男性にこんなことを言うと、また怒られるかもしれないけど……貴方みたいな美しい人、初めて出会いました。』
KA「………」
『可笑しなことを言ってもいい…？』
KA「なに？」
『私達、どこかで会ったことがあるような気がするの…』
KA「………」
『変よね…だって、貴方みたいな美しい人、一度会ったら忘れるはずないもの……でも、何故か……ねぇ、貴方は私を覚えてる…？』
KA「……僕達は、今日初めて出会った。」
『そうよね……ごめんなさい。変なことを言ったわ。ねぇ、顔色が少し悪いように見える…大丈夫？』
KA「月明かりだけで、そんなことまでわかるの？大丈夫だよ。別になんともない。」
『それならいいのだけど……フフッ！今日はこの森に来て、居眠りをして正解だったわ！こんなにも面白い夜を過ごせるなんて……あ、そうだ！お腹は空いてない？おやつに食べようと思ってスコーンを持って来たんだけど、もし良かったらっ、"ポツ"
えっ、……雨？』
KA「………降る。」
"ザーーーーーーーー"
『キャーー！なんで急に！？今日は雨予報じゃなかったのに！』
KA「こっち。着いて来て。」
"カツッ、カツッ、カツッ"
『っ、……その杖…』
KA「……目だよ。目が見えないんだ。」
『えっ！？全然気づかなかったわ…だって私、さっきからずっと貴方と目が合ってるもの…』
KA「ただの慣れだよ……それよりも急いで。あっちの木に空洞がある。そこなら雨も凌げる。」
『ありがとう……』
"ぎゅっ"
KA「っ！？………手、何。」
『足元が悪いわ。』
KA「いい。慣れてるから大丈夫。」
『私は慣れてないの。しっかりエスコートしてくださいね？』
KA「っ、……」
『大丈夫よ！私こう見えて力があるの！貴方一人を支えるくらい、どうってことないんだから！』
KA「だから、僕は大丈夫だってば…」
狼「ワゥ〜」
KA「………からかうな。」
『え？』
KA「なんでもない。いいから急いでっ、"バサバサバサバサッ！"
っ！？」
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作者名：ATMs
| 作成日時：2023年6月5日 7時
