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KA「わかるよ。ここ、風が気持ち良いよね。実は僕も、ここで朝まで眠ってしまったことがあるんだ。」
『朝まで！？私が言えたことじゃないですが、こんな狼がいるような森で朝までなんてっ、…そ、そうだ！狼！その子、狼なんですよね！？大丈夫なんですか！？』
KA「大丈夫。僕たち仲良しだから。僕には噛んだりしないよ。」
狼「ワフッ」
『僕にはって…』
KA「で？こんな所まで何しに来たの。」
『あ、えっと……私、先週この先の街に引っ越して来たんです。それで、街で噂を聞いて…』
KA「(先週…)
……噂って、どんな？」
『えっと…森の奥に、誰が住んでいるのかもわからない、とても素敵な洋館があるって。でも、そのお屋敷には誰も辿り着いたことはなくて……だから、本当に有るのか無いのかは定かではないんですって。それを聞いて、私とてもわくわくしちゃって！街の女の子達は、7人のとても綺麗な貴族様方が住んでいるなんて噂をしてるのよ！ふふふっ』
KA「へぇ……その先は？」
『え？』
KA「その先の話は、聞いてないの？」
『え、まだ続きがあるの…？』
KA「その屋敷に辿り着いた者は二度と街には帰れず、それ以降姿を見た者は誰もいなかった…って、続き。」
『っ！？』
KA「フフ…ただの噂だよ。だいたい、見た者は誰もいないのにどうして屋敷に辿り着いたかなんてわかるのかな。」
『あ…それは確かに…』
KA「噂だよ…ただのね。」
『あ、貴方は…』
KA「………」
『貴方は、どうしてここにいるの…？』
KA「………散歩。」
『散歩…？こんな時間に？』
KA「夜が好きなんだ。」
『あ、それはわかるわ……私も、夜が好き。』
KA「………僕が、怖くないの？」
『え？どうしてですか？』
KA「他に誰もいないこんな夜中に、狼を連れた男と遭遇だなんて、普通は怖がると思うけど。」
『あ、そう…ですよね……よく言われるんです、お前は危機感が無さすぎるって……でも、貴方からは悪い匂いはしないから。』
KA「匂い…？」
『あ、信じてませんね？私、そういうの嗅ぎ分けるの得意なんですよ！』
KA「………何それ。狼はそっちなんじゃないの？」
『フフッ！確かに！でもその子、本当に狼なんですか…？良い子、ですね…』
KA「うん、自慢の友達。」
狼「クゥ〜ン」
『よく見たらとっても可愛いのね…目が輝いてる…綺麗…』
KA「暗いのにわかるの？」
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作者名：ATMs
| 作成日時：2023年6月5日 7時
