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照れ隠しするように、ショコラは、小箱の中から、優しい桃色のフランボワーズマカロンに手をつけた。
その様子を、頬を緩めて眺めているナハト。
"ナハト、普段からこういう風に笑ってればいいのになぁ…。" なんて、ショコラは思っていた。
「ねぇ、ナハト。」
「ん?」
「これって、その…デート…?なのかな?」
自分で言っておきながら、恥ずかしそうに少し下を向きながら、上目遣いでナハトを見つめた。
実は、ショコラが、最初から気になっていたこと。
「俺はデートだと思ってるけど?」
「へっ…!?」
当たり前とでも言いたげに、涼しい顔で応えたナハト。
対して、それに動揺を隠せないショコラは、がばっと勢い良く頭を上げた。
「うわっ!?どうした!?」
ナハトは、そんなショコラを見てビックリしていた。
「驚いてるのは私の方だよ…!」
頬を柔らかな朱に染めてまた俯いたショコラにナハトは、
「照れてる？」
「照れてない。」
俯いたままショコラが否定した。
ショコラの表情は説得力の欠片もなかった。
こうして、2人は夜が明けるまで、笑い合っていた。
ショコラが空を見上げた頃、空は藍と紅の色が交じり合っていた。
「ナハトの瞳も、あんな色だよね。優しくて美しい紅。」
ポツリと独り言の様に呟いた。
小さな声だったが、ナハトはしっかりと聞いていた。
優しく口元を緩ませ、ナハトは言った。
「じゃあ、藍色の方はショコラだな。」
「2つの色が交ざり合って…。綺麗なグラデーションだね。」
「あぁ。」
そう言って、ナハトは自分よりも背の低いショコラに背丈を合わせる為に膝を曲げた。
そして、真っ直ぐにショコラを見詰めた。
ショコラは「ふふ。」と安心したように、優しく笑った。
何も言わずに、ナハトがショコラの背を支えて、今までで1番優しくキスをした。
朝焼けが2人を祝福しているようだった。
もう時間が迫ってきた。
最後に、ショコラは照れ笑いをしながら、ナハトの頬に軽くキスをした。
そのまま、
「また明日！あっ、もう日付変わってるから、また今日！かな？」
と、悪戯っ子のように可愛らしく笑い、箒に乗りながら手を振った。
初めてのショコラからのキスは、恥ずかしかった様子。
照れ隠しに明るく別れを告げ、去っていった。
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