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ショコラとは逆方向に歩いていくナハトに、ショコラはちょこちょこと後ろを着いていく。
さっきは「ナハトさんに着いていけばちゃんと教室に行けるかも…！」と考えたショコラだが、数日前のことを思い出すと自然と少し距離をとってしまう。
「(…はぁ。私、ナハトさんに嫌われてるよね？この前の様子的に。)」
ナハトは時折、振り向いて軽く睨んでくるが、さっき声を掛けてくれたのもショコラを気遣ってのこと。
「(…悪い人ではないと思うんだけど……。)」
不意に振り向いたナハトは溜め息交じりに呟く。
「何で教室までの道が分かんねぇかな。」
「…すみません…。昔から方向音痴で……。」
ショコラは恐る恐る答えた。
実はショコラもナハトの名前くらいは風の噂で聞いていた。
『血の様に紅い瞳をした一匹狼のヴァンパイア』
と、友人から聞いたことがあった。
しかし、ショコラは今まで関わりがなかった為、ほとんど聞き流していた。
その相手が目の前にいるとは……。
神の悪戯だろうか。
ショコラは神なんていないけど。なんて思いながら歩き続ける。
「(……何で私、嫌われてるのかな…？)」
ショコラとナハトが最初に出会った時からそうだった。
ナハトは自己紹介はしてくれたものの、『よろしくはしないから。』と断言していた。
「…おい。次の授業の教室、ここだろ。」
「あっ、はい！案内してれてありがとうございました！」
心底嫌そうな顔をしたまま、素っ気なく言うナハトに、ショコラが白い髪を揺らしながら、ペコリと軽く礼をする。
ショコラの声も聞かずに去ろうとしていたナハトは振り返り、少しだけショコラを見ると何も言わずに教室の中に、足早に去っていってしまった。
ショコラは呆然とナハトの後ろ姿を見ていた。
「(……やっぱり、いい人だ。…私は嫌われてるけど。)」
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