(5) ページ13
,
「(よし、ちゃんと着いて来てるな…)」
暫く無言で、でも時折振り向いて、スタスタと早歩きで校内を歩く二人。ショコラは大股で歩くナハトに追い付こうと必死にパタパタ歩く。
“どこに行くんだろう…？”そう思いながらついて行くと、視界が明るくなった。
中庭に来たようだ。
ナハトは木の下の木陰に座り、再び本を開いた。どうすればいいか分からないでショコラが立っていると、不意にナハトが顔を上げ、
「ん」
と自分の隣を指差した。ショコラは急いで隣に座る。木陰が陽射しを遮ってくれて涼しい。
ナハトはフードを目深に被って、日光を遮った。どうりで不健康かと思われるほど肌が白い訳である。
ふとショコラは疑問を抱き聞いてみる。
「ナハトさん、日光苦手って言ってましたよね」
「…そうだけど、それが？」
「なのになんでわざわざ中庭に………」
フードの裾を掴みながらナハトは面倒くさそうに深いため息をついた。遠い太陽を睨み付けながら、ナハトはあの夜のような落ち着いた静かな声で話した。
「………アンタが、中庭好きみたいだったから。中庭なら人も少ないし。……嫌？」
次に本を見詰めるナハト。ショコラは思わぬ返答に目を見開いた。そんなショコラの姿はナハトには見えていない。
気付けばいろんな所に現れるナハトの気遣い。
足を伸ばしても隠れる木陰。よく見える周りにちらほら咲く野花。
「……………オレは
「え？」
唸る風と木々が揺れる音でナハトの微かな声は遮られ、最後の方が聞こえなくて聞き返した。
すると今度は少し大きな声でナハトは言った。
「オレは
「え、なんで…？」
「………目？本気でなんでオレに嫌われてるのか分かってない…ような、目」
よく分からないようで、眉を潜めながら話す。自分でも何を言いたいのか何を考えているのかよく分かっていない。
何故こんな発言をしたのかでさえ。
「オレみたいな奴に声掛けたり……、誘ったり。
見たい知りたい聞きたい。
ただ純粋に探求する好奇心に溢れた赤い瞳は、ショコラを射抜くように見つめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
