【聖F学】エリンジュームの花束を。【派生作品】 (ページ8)

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徐々に眠りに落ちていったナハトを横目に、ショコラは首に掛けている懐中時計の時間を確認した。

「(……まだ、大丈夫かな。)」

朝日が昇るまでには、まだ時間がある。

「(…疲れてるのかな…？少しそっとしておこ…。)」

　

きっと、彼だって用事があってこんな夜に規則違反を犯してまでここに来ているのだ。

何もなければ、こんな夜には出歩かない。

彼はショコラに対して、何か隠し事をしているのだろうか。

紅い月の説明をしたときのナハトの声は、迷いがあるが、優しく、何故か安心する声だった。

しかし、瞳はひどく哀しげで、何かを嘲笑している様に見えた。

　
いつの間にか、かなり深い眠りについてしまった彼を見て、様々な思考を働かせるショコラ。

　

「……ん、うーん…。」

突然、寝苦しそうに唸ったナハトに、ショコラはびっくりしたが、起きてしまった訳ではないので、安堵の溜め息を吐く。

「(怖い夢でも見てるのかな？)」

ふと、最近医務室に行った時に“周りの先生には内緒ね。”と言われ、養護教諭の先生に習った、対象の現在の状態を視ることが出来る魔法を思い出した。

わりと簡単で魔力消費も少ない魔法だ。

ショコラが呪文を呟きながらナハトに手をかざす。

初めて使う魔法だったが、魔法は成功。

　
結果的に視て解ったのは、オーバーワークだ。

魔法の使いすぎ。

…と、睡眠不足。

「(…はぁ。自分の体調管理はちゃんとしなきゃ駄目だよ。自分の部屋でゆっくり休んだ方が良いかな…。あ、明日は授業休ませても良いかも。)」

寝ながら少し表情を歪ませているナハトを、ショコラはそっと撫でた。

「(…もう少し、朝が近づいてから起こそうかな。)」

そうして、彼女は隣で懐中時計を確認し、時間一杯まで紅い月を眺めてていた。